砂手紙のなりゆきブログ

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棒演技(氷菓)

 映画『ブロードウェイと銃弾』は、禁酒法時代にギャングのボスがブロードウェイの芝居のスポンサーになって、自分の愛人をその芝居に出そうとするけど、その愛人がとんでもない大根で頭も悪く、脚本・演出の人間がほとほと困ってしまうという、ウディ・アレン監督による1994年のアメリカ映画です。
 長谷川町蔵さんは著書『20世紀アメリカの喜劇人』を読む限りでは、ウディ・アレンをあまり評価していない(それよりもっと評価すべき人たちがいる)という史観のようですが、1990年代のウディ・アレンは、面白いものは本当に面白くて、シブヤ系を含むオシャレな男女は恵比寿の恵比寿ガーデンシネマに見に行ったものらしいです。あの映画館もミラマックスもない21世紀(正確には2010年代)はかなりひどい気がします。
 まぁその代わりDVDではいくらでも、何度でも、ウィキペディアとgoogleを使いながらでも、日本語字幕・英語字幕切り替えでも、さらに日本語吹き替えでも鑑賞できるという、映画が好きな人には地獄なのか極楽なのかわからない環境にはなっています。おかげで『ブロードウェイと銃弾』の(かつての)大女優ヘレン・シンクレアが昔出た芝居を回想して語る「アルビング夫人」が何のことか、(イプセン『幽霊』です)、同じく初演で賞を取ったイプセンの『社会の柱』がどんな話なのか、ほぼたちどころに知ることはできるんですが、そのかわり1時間半の映画を見るのに3時間ぐらいかかります。3時間の映画だと1日の自由時間で見るのはほぼ無理です。
 で、この映画で感心するのは、演技のうまい人でないと大根女優は演じられないものなんだなぁ、ということです。
 事実、大根役者という設定になっているこの映画の女優、ジェニファー・ティリーのストーリー・クラッシャーぶりは相当なもので、この人が出てきて話をはじめると、もう彼女にしか話が集中できない。アカデミー助演女優賞はヘレン役のダイアン・ウィーストが受賞したんですが、ジェニファー・ティリーの存在感は、個性的な役者の多いこの映画の中でも大変なものです。
 アニメの中の棒演技では、『氷菓』における、高校生による自主制作映画という設定の話が興味深いです。
 そこでは以下の6人が出てくるわけですが、

山西みどり(小清水亜美
杉村二郎(入野自由)、
瀬之上真美子(広橋涼)、
鴻巣友里(茅原実里)、
勝田竹男(泰勇気)、
海藤武雄(小西克幸

 もう、小西克幸さんの声が素晴らしすぎて呆れるばかりです。あまりのことにウィキペディアで小西克幸さんの出演作を検索してみてしまったぐらい。
 その次が、個人的には広橋涼さんなんですが…これは本当にヘタに演技してるのか、いつもの演技を過剰気味にやっているのか、ちょっと謎です。
 しかし、この部分の音入れるのに、みんな苦労しただろうなぁ。監督からは「もっとヘタにやってください」というサジェストが入ったりしているのか。
 余談ですがその後の、古典部を謎解き担当者に紹介する2年F組の江波倉子(悠木碧)さんのローテンションも謎です。なお江波さんは一応DVDの表紙にもなっているぐらい重要な隠れキャラです。