砂手紙のなりゆきブログ

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百合ヶ丘・百合丘(ゆるゆり)

 小田急線沿線の読売ランド前駅は、以前は西生田駅と言って、現在の生田駅が東生田駅でした。
 百合ヶ丘駅は、日本住宅公団による百合丘第一団地の入居開始にあわせて、1960年3月25日に開業されました。開業当時は駅前にも田園風景や未開の山林が広がり、造成・分譲中の土地は西部劇の開拓地さながらの土臭い風景でした。団地の名前は「百合丘」ですが、駅名は少し違います。
 さらに、1961年には第二団地の入居もはじまって、土地を売って土地成金になった近在の農家(当時は百姓、という言葉が普通に使われていました)が、あぶく銭で家を新築したり、最新の電気製品を揃えたり(洗濯機とかステレオとか)、畳の部屋にダブルベッドを置いたりしました。団地以外にも土地の分譲は民間レベルでおこなわれ、金が動くところには人そのほかいろいろなものが動いて集まります。
 現在は、さらに新しく出来た新百合ヶ丘駅のほうが駅前は盛況になり、どちらの駅も、寂れてる、とまでは言わないにしてもさほど賑わってはいないようです。
 団地は現在、第一・第二団地ともに今の時代に合わなくなったため、エアコン・エレベーターつきの広いマンションに建て替えられました。
「1960年代の百合小と百合丘~川崎市立百合丘小学校45周年/校舎改築を記念して」の「百合丘団地」というテキストでは、以下のように書かれています。

こんな団地を舞台(ぶたい)に映画(えいが)も作られています。団地ができたばかりのころの百合丘の景色(けしき)がうつっているので、チャンスがあったら見てみるとおもしろいでしょう。 お話(はなし)の内容(ないよう)は小学生ではちょっとむずかしいかもしれません。

 映画『喜劇 駅前団地』は1961年の夏に公開されました。紹介したテキストでは「2010年」が45周年なので、百合小の開校は1965年の春、東京オリンピックが終わって半年後ですかね。冒頭の坂本九ちゃんが歌って渡っているところは読売ランド前駅(西生田駅)の小田原寄りの踏切で、その先に今も「よみうりランド駅前通り」という商店街があります。本当なら「読売ランド前駅駅前通り」なんでしょうが、それはややこしすぎ。
 小田急線は読売ランド前駅から百合ヶ丘駅まで、線路の両脇が緩い上り坂になっており、百合ヶ丘駅は特に南側の出口が高く、階段を上ったらそのままホームに出ることができます。ここらへんの風景は『喜劇 駅前飯店』で確認できます。