砂手紙のなりゆきブログ

KindleDPで本を出しました。Kindleが読めるデバイスで「砂手紙」を検索してください。過去テキストの一覧はこちら→http://d.hatena.ne.jp/sandletter/20120201/p1

「ルイジアナ・ママ」という歌の謎・その1(ロニオリ)

 

湯煙の 立つや夏原 狩りの犬

 これは伊丹十三が『ヨーロッパ退屈日記』の中で、エルビス・プレスリーの歌う「ハウンド・ドッグ」(狩りの犬)の冒頭に関して述べたものです。英語で書くと「You ain't nothing but a hound dog」、日本語だと「ユエンナシバラハウンドドッグ」。昔も今も「空耳アワー」的なものはあったわけで、中学英語的には「ain't」という俗語と、二重否定があるうえ、butもあるので構文的に難しく、聞き取りやすいとは言えないですかね。しかしそれを俳句にしちゃう伊丹十三のセンスがすばらしすぎます。
 同じようなもので、ビートルズの「抱きしめたい(I want to hold your hand)」の中で、どうしても「アゲハー、アゲハー」としか聞こえないところがありますが、これは「I can't hide」って言ってたのか。
 伊丹十三はこの話のマクラに、「ルイジアナ・ママ」という曲についても触れています。「ロニオリ」が「from New Orleans」だというのは、飯田久彦じゃなくて本家のジーン・ ピットニーのほう(元歌)をリュクセンブルグ放送で聞いてわかった、という次第。
 しかし飯田久彦に歌わせてる漣健児の訳詞、というか超訳詞すばらしいです。元歌には「びっくり仰天有頂天」も「あたりきシャリキ」も「スクスクドドンパチャチャチャ」も出てきません。まぁほとんど、最初のフレーズ以外はみごとに日本語化してますよね。
 暇な人は日本語訳を元にしたタモリの「フジヤマ・ママ」というのも聞いてみるといいです。「やって来たのはノータリン」で、「ディキシー・クイーン」が「溺死だよ」と、山で溺れた馬鹿な人の話になっていて、椅子からずり落ちるほど面白いです。
 で、元歌を聞いてみたんですが、どうもこの「ルイジアナ・ママ」というのがどういう人なのかとんと検討がつかなくて困りました。
 また古典部の4人に推理させればいいんでしょうが、タメが長いうえに結局よくわからないので、奉太郎にズバッと結論出させてあげられない。

 ざっくり簡単なところからすると、ルイジアナというのはアメリカ南部の州の一つで、ニューオーリンズはそこの州都です。名前からお分かりのように、フランスの植民地だったところですね。
 元歌、つまりジーン・ピットニーが歌う「ルイジアナ・ママ」における、女性に関する描写を箇条書きにしてみます。
ニューオーリンズからやってきた
・金色の髪と青い瞳
・バイユー(bayou)に住む。バイユーってのはアメリカ南部にある「ゆっくりと流れる小川」で、東京ディズニーランドのアトラクション「カリブの海賊」のはじめのところがそんな感じです。アメリカのディズニーランドでは、「カリブの海賊」はニューオーリンズ・スクエアに属しています。
・主人公が出会ったのはマルディグラのお祭りの日。「謝肉祭の最終日、灰の水曜日の前日」に行われるものらしいです。これもニューオーリンズのが有名です。
・主人公とルイジアナ・ママはもう離れていて、もう一度会えたら、と回顧している。このあたりは日本語の歌とだいぶ違います。
・友達に「南へ行ったら」という話をしている。

 なんかいつもより長くなったので、残りは明日です。かえってタメ長くなってしまった。

 

続きはこちらです:

「ルイジアナ・ママ」という歌の謎・その2(ロニオリ)