砂手紙のなりゆきブログ

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メタだけどメタなのかどうかよくわからない映画(スクリーム)

 映画『スクリーム』は、シリーズ4作まで出ているアメリカのヒットホラー映画です。有名度はとんと不明だし、ホラー系の映画にもくわしくないんですが、あの殺人鬼がかぶっていたハロウィンのマスクは知っている人は多いんじゃないかと思います(あのグッズ、映画を見た人にはずいぶん売れただろうなぁ)。中規模なアメリカの田舎町で、高校生を中心にした連続殺人が起きる、という、あらすじだけでは見ても見なくてもどうでもいい映画にしか思えません。
 しかし『スクリーム』は「これは映画の中のお話ですよ」という、登場人物が意識しているかどうか皆目不明な言動や、ホラー映画に関するメタな言及があって楽しいこときわまりない映画でした。
 1作目にしてすでに、「お願い、殺さないで。パート2に出たいの」と命乞いをする登場人物はいるし、圧倒的なホラーの知識で犯人当てをするビデオショップのバイトの子はいるし。ここらへん、ミステリの中に出てくるミステリ・マニアの推理狂を思わせますね。「アガサ・クリスティのあの名作を知らないのかい?」みたいな調子で、ジェイミー・リーの巨乳、初脱ぎは83年の『大逆転』だとか、知っても知らなくてもどうでもいいムダ知識も得られます。
 呆気にとられたのは、映画の中で、「この殺人事件が映画になったら主役は誰?」って話で、「若いころのメグ・ライアンって感じだな。トリ・スペリングかも」って話をするんですが、『スクリーム』の続編『スクリーム2』では、この殺人事件が『スタブ』という名前で映画化されているということになっていて、その映画の中での主役はトリ・スペリング! こんな馬鹿な映画があってたまるものか。トリ・スペリングっていうのは、テレビドラマ『ビバリーヒルズ高校白書』で有名な人です。
 もちろん映画『スクリーム2』では、『スタブ』上映中の観客の多くは例のマスクをつけていて、「俺ら黒人だから死なないよな」って言ってる人が劇場内で殺されます。
 こんなメタ映画、4作まで見ることができるのに、どうやったら1作だけで見るのをやめられるのか。『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』のくだらない、マスク殺人鬼が出てくるエピソードまで思い出した。今はなきミラマックス(涙)。