砂手紙のなりゆきブログ

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ビートルズの3人はなぜ2本のマイクで歌うのか

 昔からそれが不思議でした。
 リンゴはともかく、ギターの3人は、各自1本のマイクではどうして駄目なのか。よくわからないけど、バックコーラスの「ハモり」のバランス取りの問題ですかね。リードとバックのボーカルがあるとすると、それぞれ1本のマイクのほうが歌いやすいとか。
 1964年2月11日の、ワシントン・コロシアムでのライブで見てみます。このステージは「回るステージ」になっていて、途中で向きを変えるんで、スタンドマイクの数と場所わかりにくいんですが(真面目にやるととても長くなる)、簡単に状況説明します。
 ビートルズ、ここでは確認できる限りでは12曲歌ってます。以下、「右」は「向かって右(ステージでは左)」、「左」は「向かって左(ステージでは右)」です。
1・Roll Over Beethoven
 いきなりジョージのソロです。他の2人は参加してない。何というイレギュラー。おまけに、実は3本マイクあるんだけど、真ん中のが調子悪くて少し歌ったら左端に移動してます。この「真ん中」のマイクは使えないみたいです。
 ライブ感はあるけど、音はいくら何でももう少しいい音源ありそう。1960年代も半ばなんだし。最後のところでは、ポールが左のマイク使って、ジョンとジョージが右のマイクで歌いますが、ポールの声全然拾えてません。
2・From Me To You
 これはジョンとポールが2人で1本のマイク(左)で歌います。だいたいこういうのはポールが高音部担当でハモります。ジョージは演奏だけです。
3・I Saw Her Standing There
 これもジョンとポールが左のマイクで歌います。主にポールの歌です。基本的にジョン控えめです。リンゴのスタイリッシュなドラム気持ちいいです。
 ここで向きが反対側に変わるんだけど、ドラムは回るんだけどアンプ(PA)回ってなさそう。これはやりにくい。
4・This Boy
 なんと、3人で1本のマイクです。これは見ないとちょっと信じられなかった。おまけに順番が左からジョージ・ジョン・ポールで、ジョンがメインで歌うときは両側がバック。これは素晴らしいです。
5・All My Loving
 ポールが右で歌って、左側でジョンとジョージのコーラス→間奏→ポールとジョージ歌って→また3人で歌う。この流れすごいです。楽しい。あと1曲歌うごとにお辞儀。これはマネージャーのアドバイスですね。
6・I Wanna Be Your Man
 これは、リンゴの歌なんだけど、一番感度が悪いスタンドマイクを真ん中に立てて歌わせるという辱めを受けているため、バックコーラスのほうがよく聞こえるひどいものになりました。ビートルズは悪くないです。
 で、やっぱマイクテストして、真ん中のはもう全然駄目、ってことになって片付けさせて、右のを中央に持ってきます。
7・Please Please Me
 ここらへんから後半の展開。ジョンとポールが2つのマイク使って、「come on (come on)」のところにジョージが左のマイクに入ります。
8・Till There Was You
 これはポールの歌。ポールがノリノリで歌うラブソングです。
9・She Loves You
 これもデュエット&コーラスの名曲なんだけど、ポール&ジョージの声、マイクが全然拾えてないというひどい有様。このステージ立てた技術者は殺されてしかるべき。
10・I Want To Hold Your Hand
 これはまた向き変えてますね。マイクも変わってる。メンバー4人とも、楽器やマイクの音しょっちゅう気にしてて、なんとかならないかと思う。
 歌はジョンとポールのダブルボーカルのいつもの構図です。今聞くとけっこうもったりしてる。
11・Twist And Shout
 ジョンがソロで2人がコーラス。「あー→あ^ー→わー→わ^ー」って上がりながらハモるところ、素晴らしすぎます。アイドル時代のビートルズの歌では、これが一番好きだな。
12・Long Tall Sally
 ポールのソロで、無茶しやがってるロックっぽいのが聞けます。もう、最後の3曲たまらんわ。

 あと他のだと、「I'm Down」でジョンが電子オルガン弾いてるのとか、「Nowhere Man」を含む後期の、いつまでもコーラスにこだわり続けたステージとか、いろいろやってて、聞いてるだけじゃなくて見てても楽しかった。