砂手紙のなりゆきブログ

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物語の終わらせかたは2つしかない(ひとひら)

 ほとんど全ての物語には「はじめ」と「真ん中」と「終わり」があって、それは作者によってコントロールされています。要するに、どこから話をはじめて、どこで終わらせるかは、作者がどのように選んでもかまわない。
 ただ、それだと本当に自由度が高すぎるので、始まりかたはともかく、終わらせかたは2つしか実はありません。つまり「これから始まる物語」として終わらせるか、「終わってしまった物語」として終わらせるか、です。
 もっと簡略化すると、「主人公たちの背中で終わらせる物語」と「主人公たちの記念写真で終わらせる物語」です。
 例をいくつか挙げてみます。

・背中で終わる物語
 亡念のザムド
 戦姫絶唱シンフォギア
 神様ドォルズ
 俺たちに翼はない
 再会の街で(映画)

・記念写真で終わる物語(厳密には「過去の記憶」として終わる物語、ですが)
 ましろ色シンフォニー
 ロウきゅーぶ
 恋と選挙とチョコレート
 ひとひら
 ベイビーママ(映画)

 個人的には、物語を回顧する物語(これは物語だと、作者が意識している物語)はほとんど後者に属しますが、どちらがいいかという結論はないので、どちらの終わらせかたに傑作が多いか、というのもありません。単にあなたが、物語をどうやって終わらせたらいいか、物語を作っていて困ったときのヒントになれば、と思います。
 なお、たいていの人の「人生」という名前の物語は、後者の形で終わるはずなんですが、それって確認できないですよね。

 アニメ『ひとひら』は、ちょっと勇気が足りないながら、舞台ではすごい声を出すことができる麻井麦の、演劇研究会での1年を描いた物語、のフリをした、実は演劇研究会3年生・一ノ瀬野乃の、たったひとりの友達と、沢山の仲間たちの物語で、最後はなくなってしまった演劇研究会のドアの下の、みんなの落書きで終わります。
 ものすごくいいアニメなので、機会があったら見てください。