砂手紙のなりゆきブログ

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双葉十三郎や淀川長治を信用していないのは映画『ゾンビ』を評価していないから

 映画『ゾンビ』というのはジョージ・A・ロメロのゾンビ映画で、世の中にゾンビ映画というものができるきっかけとなった映画です。
 なにしろナレーションでいきなり「世界はゾンビたちのものになった」とはじまって、それがスーパー(今だとモール街だと分かるんですが、昔はそういう商店街、多分日本にはなかったんじゃないかな)に閉じ込もった人間を襲う。
 みんな生肉食って、食われない人はゾンビになってまた人を襲う。
 どう考えてもオシャレな高級レストランじゃなくてジャンクフード映画です。
 こういうの堂々と面白いと言える風土が日本に当時はなかったから、映画批評業界偏っちゃったんじゃないかと思う。
 幸か不幸か、芸術映画はもはや昔のジャンルとして、ビデオでしか見ることができないようになってて、映画館はポップコーンとメロンソーダの匂いが充満してますな。
 ちなみにぼくは『ゾンビ』は今はもはや日本中探しても手足の指で足りるだろうと思われる、B級映画3本立ての映画館で見ました。午前十時ぐらいに映画館に入って、アンパンと牛乳で昼食食べながら映画見て、出てくると冬だったらもう暗くなってて、人生の一日を無駄遣いした気につくづくなるような映画館です。
 一緒に見た他の2本は何か忘れた。昔の映画鑑賞ノートを掘り起こせば書いてある気がする。
 しかしまったくどうにもこうにも、人を判断するのには何が好きかってことではなくて、公には言わないけれど何が嫌いか、ってことでのほうがうまく判断できるよね。SF系書評家の大森望なんか、コードウェイナー・スミス褒めるときは嫌々、口の端で少しだけ褒める。
 映画『ゾンビ』なんて、ある世代以上の人には、淀川長治さんにとっての『駅馬車』みたいなもんです。多分ジャッキー・チェンチャップリンよりえらいと思っている世代。