砂手紙のなりゆきブログ

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「このミステリーがすごい!」の歴史(適当)

 毎年年末に出ている「このミステリーがすごい!」という本は、宝島社という名前に今はなっているJICC出版局が1988年末に出したもので、日本推理作家協会の会員によるアンケートを元にした週刊文春のミステリー・ベスト10があまりにもいい加減だったために始められました。多分きっかけは文春文庫の『アムトラック66列車強奪』がなぜか1位になっちゃったことだと思います(アムトラック事件と一般には言われています)。ここらへんは「このミス」の匿名座談会をまとめたものその他に依拠しているので、当時の担当者に本当のところ聞いてみてください。
 その当時の問題点は、文藝春秋の票数が明確にされていないこと(誰が何に入れたのか不明だった)と、投票人の偏りでした(そんなに誰も彼もミステリー読んでるわけじゃないですからね)。そうして1回目の1988年度作品のベスト1に選ばれたのは、『伝説なき地』(船戸与一)と『夢果つる街』(トレヴェニアン)でした。各年度のベスト10に関してはウィキペディアに書いてあるんですが、得点までは書いてないですね。今コツコツと手入力してるのは、誰が何に何点(何ポイント)入れたか、じゃなくて、どの作品を選んだか、にしています。その日の気分で1位と6位なんて普通に入れ替わるから、多分そのほうが正確なような気がしてきた。
 やってみるともう、今のところ『私が殺した少女』(原リョウ…漢字出ません)の圧倒的な強さでした。2010年の『悪の経典』(貴志祐介)は、投票者72人中26人が選んでいるのに、『私が殺した少女』は63人中33人が選んでます。意外と投票者増えてないな。
 ちなみに選んだ人は、

・関口苑生・河田陸村・脇田健生・米満亘・野村宏平・田中成穂・ワセダミステリクラブ・長谷川並一・岩田清美・穂井田直美・茶木則雄・八角純ニ・臼田惣介・中田一久・細谷正充・西村章・縄田一男・広辻万紀・校條剛・高澤恒夫・長谷部史親東京大学新月お茶の会立命館大学ミステリー研究会・仲英宏・よしだまさし・鈴木文平・佐山アキラ・斯波司・土屋和夫・三橋暁・山田裕樹・井家上隆幸・西夜朗(掲載順)

です。だいたい死なない限りは、今でも年間ベストに票を入れてる人ばかりみたいな気がします。
 この原リョウの当時の人気とは何だったのか、今でも読んで面白いのかはまぁ、俺も昔読んだことあるけど話さっぱり忘れてるんで読んでみようかと思った。
 歴史には全然なってないですね。東野圭吾大沢在昌がミステリ好きにはぼちぼち評価されてて、宮部みゆき北村薫がデビューして、新本格第一世代も出始めたころです。
 なお、「このミステリーがすごい!」は1989年版までは「表記の年度のベスト」だったんですが、1991年版からは「表記の前年度のベスト」になっているので、1990年版は存在しません。あと年度末に出しているので、12月刊行の作品は翌年回しになってます。