おへそに金のネジが埋め込まれていた子供(トマス・ピンチョン)
あるところに、生まれた時からおへそに金のネジが埋め込まれていた子供がいました。
子供は毎晩寝る前に「神様、毎日いい子にしていますので、おへそのネジが取れるようにしてください」と神様にお祈りしていました。
ある晩、子供の夢の中に神様があらわれて、
「お前は毎日いい子だったので、ご褒美にこれをやろう」
と言って、金のネジまわしをくれました。
子供がそれをおへそのネジに当てて回すと、ネジが外れて落ちました。
夢から醒めた子供は、ベッドの中でおへそを触ってみると、本当にネジが取れています。
「神様、どうもありがとう!」
と言ってベッドから起き上がったんですが…そのとたんに尻が外れて落ちました。
この話はトマス・ピンチョン『V』の中に出てくる、本筋とはなんの関係もないコバナシです。
あんな長い話を、一生懸命(日本語でだけど)読んだのに、もはや覚えているのはそれだけというのは情けない。
なんとなくゴシックロマンだったような気がする。国書刊行会のゴシック叢書だったし。