砂手紙のなりゆきブログ

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マクラがメタになる妙な落語『味噌蔵』(瀧川鯉橋)

 瀧川鯉橋『味噌蔵』を聞いたんだけど、なんか変な話なんでちょっと言及しておきます。
 落語『味噌蔵』は、ケチで有名な味噌販売のケチ兵衛さんが、嫁さんをもらって子供ができて、妻の実家にお祝いで小僧と行っているすきに、番頭さんその他店の者がどんちゃん騒ぎをやるという話で、瀧川鯉橋はこの話のマクラに、一門と自分の貧乏に慣れた話をします。
 自分の話として、「ロビー活動」ということで、もう金はないけど、酒が飲みたいってんで、そういう時は寄席の近所の駐車場に集まってビールを飲む、ということを話します(路上でビールだから路ビー活動)。で、やってるうちに貧乏仲間が次第に増えてって、だけど車が来ると飲めない。
 次に師匠(瀧川鯉昇)が地方に行って、余ったお弁当を折り詰めにどうやって入れて持っていくかを話します(揚げ物は日持ちがいい云々)。ということで、貧乏とケチの違いについてあれこれ話します。
 話の本筋はみんなも知っている通りなんですが、妻の実家に行くときにそのケチ兵衛さんが同伴の小僧に「宴会の残った料理の折り詰めへ持っていく方法」を語ります。
「いいか、まず揚げ物は日持ちがいいから」
 まさかその話がここにつながっているとは。
 で、店のほうですが、旦那がいないってんで店の者は大喜びで飲みはじめる。
 酒好きな一人が「私もまぁ、使いの途中で飲んでくることがありまして、えぇ、路上で。やはり貧乏な噺家の友達がいましてね」
 なんかちゃんとマクラが話に組み込まれてる! ものすごく不思議な気になる。
 こんな変な話をする瀧川鯉橋の師匠・瀧川鯉昇なんですが、ウィキペディアの記述が読み始めたら滅茶苦茶細かくて面白い。
 テキストの量では皆さんも知ってそうな落語家圧倒してる。
 ちょっと寄席に行ってみたくなります。