砂手紙のなりゆきブログ

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アニメ『ヨスガノソラ』のソラとハルはだいたいどのあたりで死んでたのか(夢野久作「瓶詰地獄」問題)

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください)
 以下に述べることはでたらめです。

 アニメ『ヨスガノソラ』は両親の死によって昔住んでいた田舎(奥木染町)に引っ越すことになった兄・春日野悠(はるか=ハル)と妹・春日野穹(そら=ソラ)という双子の兄妹の近親相姦の話です。
 ハルのほうはソラとあれこれする前に、お嬢様の渚一葉(みぎわかずは)、一葉と複雑な関係がある神社の巫女で一人暮らしの天女目瑛(あまつめあきら)、隣に住んでいて毎日起こしに来るおとなしめな依媛奈緒(よりひめなお)とあれこれ、とても一家では見られないようなことをして、とにかく目が点になったまま戻らないアニメでした。このアニメで良性性交時頭痛という語を覚えた人もいるかもしれない(検索しないでください)。
 アニメの最終話では、第一話と同じく、ただし席の色・形などが違う列車でこの兄妹は田舎を離れ、別の地に旅立ちますが、解釈としてはそれは冥界への旅立ちで、列車は地獄行列車ということになっています。
 つまり、ソラは神社の裏の湖で入水し、ハルはそれを助けようとして溺れ死んだ。最後のメールは二人を助られず密かに埋葬した渚一葉の偽装メール。
 結末として「それは本当にあった話なのか」という疑問を感じさせる点と、兄妹愛の話の点で夢野久作「瓶詰地獄」との類似を感じました。
「瓶詰地獄」では、孤島で暮らす二人を船が迎えに来るわけですが、それがそもそも本当なのか嘘なのかわからないですよね。あの二人がどこで(どのあたりで)死んだのかも、本当はわからない。
 アニメ『ヨスガノソラ』の二人の死に場所は、実は複数あります。
 ぼくとしては第一話、兄妹が徒歩で道を歩いているところで渚一葉が乗っている車とすれ違うんですが、この時点ですでに妹は車に跳ね飛ばされて死んで、兄は重症で病床にある(そこから先は彼の見た夢)、という説にも一票入れておきたいところです。
 他には、
・父の病院の薬棚から薬品が落ちてきたときに死亡
・ソラたちが海に行ったときに、溺れて死亡
・帰り道、自転車のソラが依媛奈緒とぶつかって死亡
 など、さまざまな死亡フラグが考えられます。
 いい話はたいてい夢だったということになります。
 シンデレラがドレスを来て舞踏会に行ったのも、シンデレラが疲れて寝たときに見た夢。
 みにくいアヒルの子が白鳥になるのも、みにくいアヒルが見た夢。
 芝浜で四十両拾ったのも、貧しい魚屋の夢。

倉永梢「気持ちだけでしちゃっていいのなら、あたしだってやりたいこといっぱいあります!」(ヨスガノソラ)12話

「オ父サマ。オ母サマ。ボクタチ兄ダイハ、ナカヨク、タッシャニ、コノシマニ、クラシテイマス。ハヤク、タスケニ、キテクダサイ。」(夢野久作「瓶詰地獄」)