シェヘラザードの微妙な話(アラビアン・ナイト)
バートン版のアラビアン・ナイト(千夜一夜物語)は、版としては短いものですが、169の主な物語があり、19回にわたって「物語の中の物語」を87語り、さらに4回にわたって「物語の中の物語の中の物語」を11語っているので、全部で267の物語があります。嘘だと思うなら数えてみるといいです(ぼくは面倒なのでジョン・バース『金曜日の本』の記述を引用しました)。吟遊詩人が『オデュッセイア』を歌うのに4晩なので、その250倍というかまぁ、一つの物語が平均『オデュッセイア』と同じ長さですかね。長さには大小があります。
同じくジョン・バースの本の中では、微妙な問題が語られています。つまりシェヘラザードの生理(メンス)の問題です。こういう話は個人的にはあまり好きじゃないんですが(伊丹十三のエッセイでも、そういう話の婦人座談会だけは飛ばしてしまいました)、普通に考えるとどうしてたかと思いますよね。彼女は1001夜の間に3人の子供を産んでいるので、そのほとんどが妊娠期間です。物語の最後では「一人は歩き、一人は這い、一人は乳飲み子」です。
ジョン・バースの計算には3つ(4つ)の「日程表」が掲載されているので、それを表にします。
*日程表 | 1 | 2 | 3 | 4 |
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第1回目の受胎 | 第1夜 | 同左 | 同左 | 同左 |
第1回目の出産 | 第267夜 | 同左 | 同左 | 同左 |
第1回目の生理 | 第309夜 | 同左 | 第323夜 | 第316夜 |
第2回目の受胎 | 第323夜 | 同左 | 第337夜 | 第330夜 |
第2回目の出産 | 第589夜 | 同左 | 第603夜 | 第596夜 |
第2回目の生理 | 第631夜 | 同左 | 第659夜 | 第645夜 |
第3回目の受胎 | 第645夜 | 同左 | 第673夜 | 第659夜 |
第3回目の出産 | 第911夜 | 同左 | 第936夜 | 第925夜 |
第3回目の生理 | 第953夜 | 同左 | 第995夜 | 第974夜 |
第4回目の受胎? | 第967夜 | - | - | - |
第4回目の生理? | - | 第981夜 | - | 第1002夜 |
1・2は出産~生理までの最短、3は最長、4は平均だそうです。
これ見た俺の感想は…あまり深く考えないことにしよう、ということと、子供産んだ日の夜でも物語やめてないんだな、ってことです。