砂手紙のなりゆきブログ

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黒人俳優と照明の問題

 黒人と白人との撮影の違いについて、撮影監督のジョン・アロンゾは『マスターズオブライト アメリカン・シネマの撮影監督たち』(フィルムアート社)の中で以下のように興味深いことを語っています。

・黒人に多くライトを当てることより、白人に対するライトをどれだけ少なくできるかのほうが大事
ダイアナ・ロスの皮膚はチョコレート色っぽい性質があり、シシリー・タイソンはわずかに青っぽい
・シシリー・タイソンの場合は暖色系のライト(フィルライトのかわりにタングステンライト)を使う(そうやって撮られた映画は『サウンダー』)
ダイアナ・ロスはビリー・ディー・ウィリアムズと比べると温かみがやや強いので、アイライトをいつもやや冷たいブルーにした(そうやって撮られた映画は『ビリー・ホリディ物語』)
・フィルムは青色にはきわめて敏感なので、本当は俳優の顔に当てたくない色

 日本の木下惠介監督による初のカラー映画『カルメン故郷に帰る』で、笠智衆がどんなにメイクしてもうまくいかなかった、みたいな話を思い出しました。