砂手紙のなりゆきブログ

KindleDPで本を出しました。Kindleが読めるデバイスで「砂手紙」を検索してください。過去テキストの一覧はこちら→http://d.hatena.ne.jp/sandletter/20120201/p1

1960~70年代の洋書の値段がさっぱりわからないので困るけどとりあえず『最後のユニコーン』はアダルト・ファンタジーじゃなかった

 リン・カーターという凄腕の編集者がアメリカにいて、彼の編集のもと、バランタイン社のペーパーバックで「アダルト・ファンタジー」というシリーズが1960年代末から1970年代中頃にかけて65冊刊行されました。
 細かなデータは例によってisfdb(SFのデータベース)、「Publication Series Ballantine Adult Fantasy - Bibliography」というところで確認できます。
 要するに1969年、フレッチャー・プラットの『The Blue Star(未訳)』から1974年、ロード・ダンセイニの『Over the Hills and Far Away(未訳)』まで。シンボルマークに「一角獣(ユニコーン)」が使われ、英語圏中心ながらジョージ・マクドナルド、ジェイムズ・ブランチ・キャベル、ウィリアム・モリス、それにH.P.ラヴクラフトを含むアーカムハウス・ファミリーの作家など、どこらへんに需要があるのか(あったのか)、今となってはさっぱりわかりませんが、ハヤカワFTとか東京創元社の帆船マークの本とかになんとなく影響を与えてる気がするシリーズです。
 で、当然ピーター・S・ビーグルの『最後のユニコーン』もそのシリーズとして刊行されたと思ってたんですが、1970年の10月に出たこのペーパーバックは「アダルト・ファンタジー」のナンバリング外の本だったというのに驚いた。
 表紙カバーよく見ると確かにユニコーン・マーク入ってないですね。ユニコーンが描かれてて、アダルト・ファンタジー・シリーズ真っ最中だというのに。

f:id:sandletter:20140215205313j:plain

 いったいどういう理由でそうなったのかさっぱりわからない。
 さらにわからないのは、だいたい0.95ドルで当時アメリカで売られていた本(この当時のペーパーバックの相場?)は、日本でいくらぐらいで売られてたか、ってことです。
 1ドル360円時代で洋書は倍の価格で売られていた、という都市伝説を信じると、1冊600~700円ぐらい?
 消費者物価指数、2010(平成22)年を100としたときの1970(昭和45)年は32.6。約1/3だから、今だと1冊2000円前後の感覚ですかね。
 ちなみに現在、スティーヴン・キングの『11/22/63』、ペーパーバックを日本のアマゾンで買うと1357円です。アメリカのアマゾンだと19.99ドルが値引きされて11.29ドル。

 

(追記)

 その後、ファンタジー研究家の中野善夫さんに「ユニコーン・マーク入りのもあるよ」って教えていただきました。0.95ドルから1.25ドルに価格は変更されています。