砂手紙のなりゆきブログ

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クリストファー・ノーラン監督が『タイタニック2』を作ったら本当の話なのか話の中の話なのかわからない映画になると思う(レオナルド・ディカプリオ)

 クリストファー・ノーラン監督はややこしい映画作らせたら多分今のところ世界一の人で(条件として「にもかかわらずヒット作」という縛りはありますが)、ウェス・アンダーソンリチャード・ケリーと並んで、比較的若い映画監督として、ぼくが贔屓にしている監督です。
 ウィキペディアで画像見たらディカプリオと区別つかないくらいのハンサムさで驚いた。
 それはともかく、彼の作品の中ではレオナルド・ディカプリオが活躍する『インセプション』(2009年)は比較的わかりやすい映画のはずですが、夢の世界に入りこんで記憶を操れるエージェント(特殊能力を持つ人)が、多重構造の夢の中で問題解決をはかる、実に説明するのが難しい話です。新米のメンバーとしてエレン・ペイジが夢の空間いじくって直角の町並みを作っちゃうところは、見た人ならみんなよく覚えていると思います。
 映画は基本的に「虚構(夢)空間」なので、その中で多重構造の話をされると、「映画の中の現実は本当に映画世界では現実として物語られているのか」という、メタ構造を意識させる映画は、見る人の気持ちを不安にさせます。つまり話が終わっても「このオチでいいの?」みたいな気になるんですよね。
 レオナルド・ディカプリオが出てくる、やはりメタな映画としては『シャッター アイランド』(2010年)があります。21世紀になっても全然枯れていない名監督マーティン・スコセッシによる不思議映画で、この作品の中でディカプリオは、1950年代を舞台に、狂人と医者だけが住んでいる島に行って、脱走した狂人を探す刑事役をしますが、オチはタブーとされているみたいなので省略します。
 ジェームズ・キャメロン監督の映画『タイタニック』(1997年)は皆さんもご存知の通り、タイタニック号が沈んで終わる映画なんですが、これはその当時の思い出を話す老婦人が語る「物語映画」で、語り手の目で始まり目で終わる、という構造は同時期ぐらいに公開された『プライベート・ライアン』(1998年)と同じですね。沈んでしまった船とその乗員に関する続編はもう無理なんですが、別の人が語る『タイタニック2』という映画ならできそうです。クリストファー・ノーランが作るなら、ナルコレプシーの主人公がモーテルで意識を失う(眠る)とタイタニック号の中で目覚めて、おまけに眠るたびに時間が少しずつさらに戻っていて、主人公が逆ギレして、これは夢だということを証明するためにヒロインと一緒に船の船首から飛び降りて夢から覚める。タイトルは『タイタニック リターンズ』がいいです。
 あと、何を作っても1作目より違った面白いものを作ってくれるジェームズ・キャメロン監督に『インセプション2』を作ってもらってもいいです。