砂手紙のなりゆきブログ

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マイケル・バルコン製作の犯罪映画(カインド・ハート)

 かつてイギリスには1929年から1958年まで、イーリング撮影所というものが存在し、マイケル・バルコンはそこのプロデューサーとして95本の長編劇映画を担当しました。今日日本で見ることのできる映画は数本しかありませんが、ロバート・ヘイマー監督でアレック・ギネスが1人8役を演じる犯罪映画『カインド・ハート』(1949年)はちょっと機会があったら見てみてもいいと思います。
 これは貴族の血を母親から継ぎながら、諸般の事情で服の販売売り場担当に甘んじていた男が、いろいろ頭に来て爵位相続権のある関係者を皆殺しにするという計画を立てて実行するという話で、大藪春彦というよりウディ・アレンの映画を思わせる不思議に今見てもつまらなくない映画でした。ウディ・アレンだったら『マッチ・ポイント』に一番似てるかな。舞台はイギリスだし。この頃のアレック・ギネスウディ・アレンに少し似てなくもない。
 その時代のフィルムって保存状況がバラバラすぎて映像に関する意見はうまく言えないんですが、「とてもきれい」としか言いようがないです。同じマイケル・バルコン製作によるアレグザンダー・マッケンドリック『白衣の男』(1951年)の研究室の風景は、遠近ともにくっきり出してる謎焦点映画の印象に残るショットの一つでした。