砂手紙のなりゆきブログ

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ハーレムアニメの主人公がハーレムになるのは「いい人だから」で十分だし、私立探偵小説が真実に突き当たってしまうのは「仕事だから」で十分だ(リトルバスターズ!)

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください)
 アニメ『リトルバスターズ!』は男子4人と女子5人(プラスマネージャーの1人)が野球をはじめる、恋愛アドベンチャーゲームをもとにした物語です。ちなみに野球は最後に少しだけやってくれます。
 主人公の直枝理樹は小さい頃に両親をなくし、ナルコレプシーという睡眠障害を持ち、いろいろ苦しんでたところを初期のメンバーであるリーダー役の棗恭介・少し人見知りな棗鈴・筋肉バカの井ノ原真人・真面目で真人といいコンビの宮沢謙吾と仲良しになって精神的に助けられます。
 アニメ1期の中では幸せが好きな神北小毬、家庭の事情が複雑な三枝葉留佳、小さくて犬みたいで外人だけど英語が苦手な能美クドリャフカ、本が好きで影が薄くて日傘をさしていてマネージャーになる西園美魚の4人のトラウマが語られ、主人公は彼女たちの話を聞いてやって仲良しになり、抱えていた問題をある程度解決します。
 個人的に気になるのは、主人公にここまで(幼児期の)背景持たせてもいいの? ってことと、話を聞いてやる目的が、野球部のメンバーを集める、という方向でいいのかな? みたいなことでした。
 ぼく個人がざっくり漫画・ラノベ・一般ゲームも含めたハーレムアニメに興味があるのは、主人公が無駄にいい人だ(そりゃこんだけいい人なら女子に好感持たれるよなぁ)ということと、いい人であることに特に理由なんかないことです。
 アニメ『Kanon』(京都アニメーション)の構造に比較的似ているのはロス・マクドナルドの一連のリュウ・アーチャーを主人公にした私立探偵小説なんじゃないかと思ってるんですが、リュウ・アーチャーは仕事で真実をつきとめ、『Kanon』の主人公・相沢祐一は親切で真実にぶちあたります。そしてその2人(を含めた多くのハーレムアニメ)では、なぜそうなったのか、私立探偵になった理由とか、どの女の子にも親切な理由はあまり語られません。要するに過去と動機が薄いんです。
 これはゲームをやるプレイヤーが「こんな過去持つ人格のキャラでゲームやれない」みたいなことあるからなのかな。
 ぼくの見たアニメで女の子に対し攻略目的がはっきりしているのは『神のみぞ知るセカイ』の主人公・桂木桂馬ぐらいのもので、これは「攻略してエルシィの駆け魂捕獲を手伝わないと死ぬ」という初期設定があるからなんですが、桂木桂馬がなぜ恋愛アドベンチャーゲームをそこまで好きになったのかは、よくわかりません。