砂手紙のなりゆきブログ

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「敵は左、ヒーローは右」の法則は幼児期の体験・記憶から(パシフィック・リム)

 きょうはいままでみなさんが聞いたり見たりしたことのないようなことを話します(すくなくともぼくはネット内外でこんなネタをあつかってるのは知らない)。
 まず、手元に「怪獣」と「ウルトラマン」のソフビ人形を用意します。用意した、と頭の中で想像してみてください。
 ついでに背景の建物のセットも用意とかしてみます。
 さて、あなたが幼稚園児だとして、「怪獣」と「ウルトラマン」をどちらの手に持ちますか?
 10人中9人は「怪獣」を左手に、「ウルトラマン」を右手に持って戦わせます。
 そうでないひとりは「左効き」の人ですね。
 (左手で持ってる)怪獣がビルをこわす→(右手で持ってる)ウルトラマンが怪獣にケリいれる→すごいたたかいになる(ウルトラマンやられそうになる)→最後は怪獣の上に乗って勝利
 で、これが「テレビを見ている子供の視点でのウルトラマン」のうごきとおなじなんです。
 つまり、テレビのウルトラマンは「子供がウルトラマンと怪獣の人形であそぶとしたら、そういう立ち位置でうごいている(怪獣は向かって左で、ウルトラマンは右)」んですよね。
 これは子供がテレビのまねをしてるんじゃなくて、たぶん子供の視点で「(画面の)右側をヒーローにしたほうがわかりやすい」と、演出の人が考えてるんじゃないかと思います。
 それが「怪獣」だけの人形で遊ぶとなると、子供は「右手」で怪獣を持ってビルとかこわします。つまり「怪獣だけのうごき」は「右から左へのうごき」になります。
 ということで、映画『パシフィック・リム』は、ギレルモ・デル・トロ監督が「ヒーロー映画を観客のためにつくった映画」ではなくて「自分がつくったヒーロー映画を観客にみせたい映画」になっているんじゃないかと思いました。
 子供が両親その他観客相手に人形であそぶのを見せる場合は、「右手」に持ったウルトラマンは、見ている人には「画面の左」に立っているように(鏡面として)見えます。
 この話は、もうすこしつづくかもしれません。

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