砂手紙のなりゆきブログ

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フィリップ・K・ディックって3人(男2人+女1人)と1人の短編多くなくない?(変種第二号)

 フィリップ・K・ディックの最新短編集、とはいっても昔の奴ばかりですが、『変種第二号』を読みました。戦争(冷戦)を背景・テーマにした作品集ということで、冒頭の「たそがれの朝食」から、なんか昔読んだ記憶のあるようなないような作品ばかりで、おまけに作者がディックでなかったらのこってなさそうなのもあったりして、新しいSF短編を知ってる人がどのくらいたのしめるのか考えさせられました。たぶん1960年代の日本SFを読んでもおなじような感想になりそうな気がする。
 あと、なんか3人(男2人+女1人)と1人のキャラの話が、表題作と「火星潜入」であるのが気になった。それについてもうすこし語るためには、同時代の作家のSF短編をもっと読むか、ディックの短編もっと読むかしないとうまくいかないと思うけど、家族のように年齢幅があるものはとにかく、おなじぐらいの年の人間を4人以上描写するのって、短編だとけっこう大変だと思う。嘘だと思うなら書いてみるといいです。よほど性格を極端にしないと(それこそアニメ的に記号化しないと)短編にならないし、そういうのはプロット・オチ重視の短編ではなく連作短編になる。
 桂米朝の「饅頭こわい」は関係者の長い夢の話などが入っていて、30分もある、とても前座噺とはいえないネタですが、桂米朝も含めてこの話に出てくる人間のすべてにキャラ立てしている落語家はしらない。
 それから、「ジョンの世界」は「変種第二号」のネタバレにすこしなってるんで、作品のならび順序としては、どうなんだろうな、とか思った。