福島正実が書いた21世紀のむかえかたで納得いかないところ
たぶん『SFの夜』収録作品だったと思うけど(あとで記憶補完します)、新世紀の素敵なむかえかたとしてSF作家の福島正実は「豪華客船(クルーズ)のダイニングで特別なシャンペンをついでもらいながら、21世紀の初日の出を」ということを書いていて、書かれていたのは当然21世紀になる前で、ぼくが読んだのも20世紀のことでしたが、「そのあなたにシャンペンを注いでいる人とか、その船を動かす人たちの21世紀はどうなんだろう?」とか思いますよね。
船長にも家族はいるだろうし、その家族は家で父親(もしくは息子)のいない21世紀をむかえている。
ダイニングで働く数十人は、恋人や友達その他親しい人たちと離れて、21世紀をむかえている。
船を動かしてる人は交代で、新年のイベントがだいたい終わった夜中すぎに、ささやかな仲間だけの21世紀パーティをやってるかもしれない。
ゴールデンウィークが終わると、そんなことを考えてしまいます。
やっと休める、って人もけっこう多いですよね。
いちばんひどいのは「じゃ、連休明けに原稿いただきますのでよろしくお願いします」って作家・ライターに言っておいて、休んじゃう雑誌編集者ですね。印刷所が休みなんだから仕方ない。連休前にもらっても仕事ができない。ゴールデンウィークなんてなければいいのに、と思う人もいるだろう。
福島正実はSFマガジンというSF雑誌の編集者だったこともある人で、その雑誌は毎月25日発売で、そういう雑誌の締め切りはだいたいギリギリで10日ごろです。要するに連休明け。
福島正実は21世紀の夜明けを見ることがなく死に、今のぼくは「いったい21世紀をどのようにしてむかえたっけ?」って思い出せない人です。
あなたは思い出せますか。