砂手紙のなりゆきブログ

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図書館の自由と規制の問題(「本を焼く自由」というのは存在するのか)

 日本図書館協会による「図書館の自由宣言」は、資料の収集・資料の提供・利用者の秘密の保護・検閲への反対の4条からなっています。そして2条の1には、自由に対する制限を容認する3つの事項、つまり人権・プライバシー、わいせつ物、寄贈・委託資料の寄贈者・委託者の意志の尊重、という事項が設けられています。
 また、3条の利用者の秘密に関しては、憲法第35条にもとづく令状を除外事項にしています。
 しかしプライバシーやわいせつ物に関しては時代の流れ・空気のようなものに支配される漠然とした基準以外の、万古不易な定義というものはありません。つい半世紀ほどの間にも、漫画雑誌その他の文通希望欄には実名で住所が載せられ、新聞では事件の被害者の住所がさらされていたし、未成年少女のヌード写真集もごく当たり前に書店で販売していました。図書館における資料の収集に関してはゆえに、公的司法機関の判決・判断を尊重しながらも「後世に残しておく必要性」を意識する必要があります。
 図書館業務として疑問なのは、特定の属性を持った集団(○○人・民族といった属性、同性愛者である属性、二次元美少女に過剰な興味がある属性など)に対する、かたよった情報を元にした資料をどう扱うか、です。科学的な知見で現在はほぼ否定されているもの、つまり具体的には血液型占いや月に人類がいかなかったという内容の本、過去の歴史認識とは異なる姿勢で特定の国家・民族を誹謗し、差別をあおるようなもの、ホロコーストに対して肯定的なものなどは、図書館に置かれて広く読まれるべき本として考えていいものでしょうか。ぼくの考えは「本を焼くなと言っている人間は、どんな本であろうと焼いてはいけない。本を焼けと書いてある本でも」なんですが、どうもはっきりしない。
 小学生のとき、「万能の神は自分に持ち上げることのできる石を創造することができるか」という問題に3日間ぐらい悩んだのを思い出した(神が万能ならそのような石を創造できなければならないし、石を持ち上げることができなければ万能ではない)。
 正しそうな回答は「万能の神を創造した神(メタ神様)に頼めば創造してもらえる」です。