砂手紙のなりゆきブログ

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2014年の時点での日本の公立図書館の現状と問題(新しい図書館法)

 日本の状況は、2008年のリーマンショックと2011年の東日本大震災で大きく変わったので(それ以前も変わってますが)、図書館に限らず現状分析をしている本は、10年以上前に刊行のものだったらまず使えない(当時の人の判断を歴史的に見るのには役に立ちます)し、5年ぐらい前の刊行物もあやしいものです。
 法令なんか毎年新しいのが出たり改訂したりしてるし、○○審議会は毎年答申出してるし、統計も同じ。
 だから、「現在の図書館」がどういう状況になっているか、というのを知るためには、一番新しい情報をネットで検索することと、とりあえず図書館に行ってみることです。
 本として得られる知識は、新しくても「2014年版」と称している2013年のデータです。
 まず、普通の人が気がつくこととして、「なんか市町村立レベルの図書館、ボロくなってきてない?」ってことです。
 つぎに、「なんかおばさんとか隠居老人みたいなの、パートタイムで貸出窓口やってなくない?」ってことです。
 つぎに、「小説とかベストセラー本は新着資料で入って来てるけど、それ以外は老人の健康本とか旅行ガイドみたいなのばっかりで、マイナー出版社の知的興味を起こしそうな本、入ってなくない?」ってことです。具体的にはみすず書房とか法政大学出版局の本とか。さすがに講談社学術文庫とかちくま学芸文庫とか、文庫類はまだ入れてる。
 ぼくが利用している図書館のうち、ひとつは25年前に建てられたもので、もうひとつは15年前で、いちばん新しいもうひとつは10年前のものです(そんなにたくさん利用しているわけじゃないので、少し盛ってみました)。
 要するに、ぼくの知っている図書館で最近建てられたものはひとつもない。日本全国見回してもだいたい同じようなもんじゃないかと思います。
 図書館はバブル崩壊後、1990年代に作られた建築物を、耐震構造加味しながら、おそるおそる使ってる。トイレは山手線の駅にも負けてるし、照明は暗いし、椅子はすり切れてるし、雨樋はところどころ錆びてる。
 職員(図書館員)に関しては、どんどん非正規雇用の人が増えてて、専任の職員は利用者対応直接してなくて、なんか受付の人に聞いたら呼んできてくれる。書店のレジの人に聞いたほうがまだいろいろ知ってる。雇用制度の改革に関して話すと長くなるし面倒なので省略します。
 本の購入が偏ってしまったのは、出版社がそういう本しか出してない、利用者がそういう本しか望んでない、図書館のほうに予算がない、という複数の事情があります。
 新しい図書館法を、アシモフのロボット法(ロボット工学三原則)みたいに今考えてみると、
第一条・図書館は利用者の安全を守る(建築物・プライバシーのの問題)
第二条・図書館は第一条に反しない限りで、資料の収集・提供をする(資料の問題)
第三条・図書館は第一条・第二条に反しない限りで、自己の安全を守る(図書館員の問題)
 というのはどうですかね。
 なお、金が回らないので難儀している、というのは別に図書館に限った問題ではなく、現在日本のあらゆるところに見られる現象です。
 小説『図書館戦争』全4巻は、2006年2月から2007年11月にかけて刊行された本なので、今の視点からするとちょっと古いかもしれないです。軍事的部門(図書隊というか、図書防衛部門)の民間委託とか普通にあるよね。「いかしたあの娘はエイリアン♪ 3日やったらやめられない♪」