砂手紙のなりゆきブログ

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映画とペイパーバック(虹を掴む男)

 映画『虹を掴む男』(1947年)は、出版社に勤務する夢想家のウォルター・ミティという編集者が事件に巻き込まれて殺されそうになる、ヒッチコック風のサスペンス・コメディで、ちょっと主人公役のダニー・ケイの芸が濃すぎてどんな顔して見たらいいのかわからなくなる映画です。
 勤務する出版社はピアース社という仮の名前で、彼の提案によりポケットサイズの本(要するにペイパーバック)を出すことになりますが、雑誌部門パルプ雑誌の黄金時代のイメージで、柱にポスターなんか張ってあります。これは現実の出版社ではなく、ハリウッドが考えて世界にわかりやすく見せた「なんちゃって出版社」なので、今となっては現実をどの程度反映していたのかさっぱり不明です。映画ではそういうことよくあることです。出してる雑誌のカバー絵とか見ると、ストリート&スミス社かな?

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 アメリカではじめてペイパーバックの本を出したのはサイモン&シェスター社で、1939年のことでした。カンガルーのアイキャッチで有名ですかね。
 アメリカ映画は1930年代、パルプ雑誌は1940年代、ペイパーバックは1950年代にそれぞれ黄金期を迎え、パルプ雑誌はもはや影も形もありませんが(多分テレビのシリーズドラマに移行したんじゃないかと思う)、残りの2つがそれなりに生き残っているのはみなさんもご存知の通りです。
 ビートルズが「ペイパーバック・ライター」を歌った1966年には、もう歌に出てくるような量産型作家は衰退しつつあったんじゃないかな。