砂手紙のなりゆきブログ

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題名とはウラハラのオシャレ女子が主人公の『校閲ガール』の校閲をする

 宮木あや子『校閲ガール』(2014年、KADOKAWA)は、紀尾井町にあるオシャレ雑誌を出している「景凡社」というところの校閲部に勤務しているオシャレ女子・河野悦子(こうのえつこ)とその周辺を描く、ファッション用語が多用されているミステリーです。一応謎とか推理とか合理的な解決があるんでミステリーってことにしておいてもいいんじゃないかな。その描写はたとえばこんな具合。

『そのときに本郷先生(注:大物ミステリー作家)が締めてらしたネクタイはエトロでタイピンはダミアーニでしたけど、あの組み合わせはくどすぎると思いました』(P16)

 そんな彼女が合コンに行くときは、こんなモテ子コスプレ。

『垂れ目メイクは完璧、香水はジル・スチュアートのオーデコロン、お洋服は不本意ながら男ウケだけを狙った、総レースの白いAラインミニワンピース(化繊)に、鞄はピンクのサマンサ。せめて自我を保つために靴下だけはアンティパスト』(P46)

 その他いろいろあるんで読んでみてください。これは検索せずにはいられない。
 そして奥付の前のページには以下の文章があります。

『本書も校閲をかけております。しかし、思わぬ間違いや見落としがないとは言い切れません。あえて採用している表現もありますが、お気づきの点がございましたら、ぜひ挟み込みのハガキなどでお知らせいただけましたらさいわいです。(編集部)』

 読者への挑戦状ですかね。
 ということで見つけました。

『というわけで二月十四日午前九時四十分現在、景凡社の雑誌校閲部員(戦力外)である河野悦子は紀尾井町ではなく寒風吹きすさぶ東京駅の二十三番線ホームにいた。』(P172)

 これは午前九時五十五分着の「とき」に乗っているある人物を迎えに行くために東京駅に来た主人公ですが…。
 その列車が到着するのは東京駅の「二十一番線」なんです。Maxとき310号、午前八時新潟発。
 本が出る前に時刻表変更とかあったのかな。小説なんでわざと違うホームにしてるとか。
 また見つけたら報告します。

 しかしこんなオシャレな本で、間違い見つけられたの「鉄」だけかよ、俺。とほほ。

(追記)その後の調査で、時刻表の2014年3月の改正により、到着ホームが変わったみたいです。要するにこの本が出されたときには間違ってなかった。