砂手紙のなりゆきブログ

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少し真面目にウディ・アレンがヒッチコック『裏窓』のプロットをいじったとしたら

 劇作家のアルビー・シンガーは幽霊しか出てこないブロードウェイの新作ミュージカルの書き下ろしのために、幽霊ばかりが出てくると評判のとあるアパートに、幽霊の妻と一緒に部屋を借りた。
 最上階の老夫婦は雨に打たれて肺炎で死亡、作曲家はグランドピアノの下で寝てたらピアノの脚が折れて圧死、ダンサーの女性は不倫がバレて銃殺、などという抜群の執筆環境なのだが、向かいのアパートに住む男がこちらをじろじろ見ているのが気になる。
 調べたところによると男は2週間前にカーレースの事故に巻き込まれて死んだカメラマン(幽霊)だとわかるが、当の本人は自分が死んでいるのに気がついておらず、おまけになんで向かいのアパートの部屋をじろじろ覗いていても誰も彼が覗いていることに気がついていないかもわからないほど頭の悪い男だった。
 主人公は創作に集中できないので、妻やアパートの住人(みんな幽霊)と相談してカメラマンを殺そうと提案するが、一度死んだ人間は殺せないと却下される。
 オチはどうしよう。
 ヒッチコックの映画も、実に映画的な終わりかたで素敵なんだけど、映画には出てこない「カメラマンから見て右側」の位置を「観客席」ということにして、カメラそっちのほうから回って撮って、みんなそっちを向いて踊らせるか。