砂手紙のなりゆきブログ

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ウディ・アレンの再リメイク版『サイコ』(ヒッチコック)

 かつては売れっ子のミステリー作家で数百本の長編・短編を書いたアルビー・シンガーは、今は落ちぶれて唯一の遺産は映画『サイコ』がヒットしたときの金で買い取ったセットのモーテル&屋敷と母の年金だけ。
 しかし実はもう数年前から母は死んでいてロッキングチェアに寝かせてあるだけで、いつ税務署の人間が調べにくるだろうかとびくびくしている。
 レッティ・アロンソンは映画プロデューサーだが数日前に交通事故で短期記憶障害という障害を負い、10分間だけしか新しいことは覚えられなくなる。しかし、ほっとけばすぐに治るから、という医者の見立てで、大事なことだけ体にメモして引き続き仕事を続けている。銀行から融資を受けた4万ドルを持って、新作ミステリー映画のためのロケーションに出かけたので、左腕に「4万ドルは銀行の金」とメモしてある。
 モーテルに泊まった彼女は入浴中に、映画のアイデアとしていいことを思いついたが、メモする紙がないのでしょうがないのでやはり左腕に「犯人はモーテルの主人」と書いておくが、その後天井から下げてあった鳥の剥製が頭に落ちて気を失う。
 それを発見した主人公は、彼女が死んでいるものと思い大慌てで「犯人はモーテルの主人」のあとに「ではない」と書いて、母の死体と一緒に車でとりあえず逃げることにするが、途中でギアをバックに入れてしまって、車と母の死体は沼地に沈む。
 そのあと警官数百人に追われるが、死んだと思ってた客は死んでなくて、記憶障害も治ってハッピーエンド。
 だけどアルビーがそのプロデューサーに送った映画のシナリオはボツ。
 アルビーいわく、「そりゃ、『サイコ・ザ・ミュージカル』って案は面白かったんだけど、ぼくには5人以上のキャラの書き分けができないし、どだい無理な注文だったんだよ。銀行強盗して逃げる7人の話にしろ、なんて、ねえ」