砂手紙のなりゆきブログ

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デジタル撮影と被写界深度の問題

 現代のデジタル撮影では被写界深度を浅く撮るのには少し手間がかかります。
 要するに、背景ぼんやり・手前くっきり(またはその逆)に撮るのは難しい。普通に撮ると深くなる、というのはフィルム(じゃないけど)とレンズの大きさの問題ですね。
 逆に言うと、フィルム時代の35ミリで被写界深度を深くする(奥までくっきりにする)のは難しかったんです。
 黒澤明(&宮川一夫)はずいぶん苦労したんじゃないかと思う。
 焦点距離を長くして、低感度のフィルムを使って、絞りを開けると浅い被写界深度になるわけですが、昔のカメラだとディズニーランドのシンデレラ城の撮影ポイントなんてどうだったんでしょうね。城と手前の人物の両方をうまく撮るの難しいと思う。
 現在の映画のデジタル撮影では「35ミリレンズアダプターキット」というとんでもないものが使われています。
 35ミリレンズで撮った画像を上下反転させて擦りガラスに写し、それをビデオカメラのレンズで撮る。
 なお、HD(高精細度)カメラは、かつてのSD(標準解像度)カメラでは30フレーム/秒でしか撮れなかったのを24フレーム/秒でも撮れるようにしてあります。
 つまり、ものすごく苦労してローテク感を出そうとしてる。
 でもそうしないと、みんなが考える映画にならないから仕方ない。
 CGで作ったアニメを、一生懸命手描きっぽく見せるようなもんか。