砂手紙のなりゆきブログ

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ウディ・アレンとうまく行かなかったクリストファー・ウォーケン(映画術)

 エリック・ラックスによる『ウディ・アレンの映画術』(2010年、清流出版)は、36年間にわたって著者がおこなってきたインタビューをテーマ別にまとめたもので、いろいろおもしろいことが書いてあります。ただし出版は2007年春なので、『ウディ・アレンの夢と犯罪』以後の話はありません。
 その中でウディ・アレンは、今まで彼の映画に出ていた役者(俳優)の話をしますが、だいたいは「天才」とか言ってます。特にミア・ファローに関しては、ぼくが再発見したんだ、みたいな感じ。確かに1980年代のウディ・アレンの映画には出まくりですが、だったら映画に出る気にならなくなるようなもめごと起こすなよウディ…。
 ただちょっとクリストファー・ウォーケンとはうまくいかなかったみたいなので、こんなことを言ってます。P256から。

『クリス・ウォーケンは僕の気に入っている俳優のひとりで、『アニー・ホール』で使ったあともまた絶対使いたかった。才能のある素晴らしい俳優だと思っていた。で、『セプテンバー』の最初の版には彼も出ていたんだ。僕らは二週間一緒に仕事をしているうちにお互いにすごく打ち解けて、毎日昼ご飯を一緒に食べていたぐらいだったんだけど、仕事に関しては万々歳というわけにはいかなかった。彼にはいくつか満足のいかないところがあって、自分のやり方でやるんだけど、僕にはそれが役にふさわしいとは思えなかった。だけど彼のほうは違うふうに演じるのはやりにくそうだった。で、二人で話し合って、基本的には彼のほうが、自分が譲歩したり僕に譲歩させたりしないで、またいつか別の仕事で一緒にやろうってことに決めたんだよ。僕は「ほんとにそれでいいの? 君の出ているシーンを全部撮り直して、違うやり方でやってみてもいいんだよ」と言ったんだけどね』

 クリストファー・ウォーケンは、『アニー・ホール』ではアニー(ダイアン・キートン)の弟役で、主人公のアルビー・シンガー(ウディ・アレン)とアニーを車で空港に送る役をしています。