砂手紙のなりゆきブログ

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高田宏治と笠原和夫(映画の奈落)

 伊藤彰彦『映画の奈落 北陸代理戦争事件』(国書刊行会、2014年)は、1977年の2月に公開された東映最後の実録映画ということになっている『北陸代理戦争』という映画を軸に、そのモデルになった河内組初代組長・川内弘(別名北陸の帝王)が親分筋の菅谷政雄(通称ボンノ)に暗殺(銃撃)されるその年の4月に起きた事件と、この映画の脚本家・高田宏治の苦労話と、その後の彼の路線変更成り上がりぶりを描いた、とても面白い本です。
 高田宏治はどうも脚本家業界では評価が微妙な気がするんですが、笠原和夫が書くのをやめた『仁義なき戦い』シリーズを続けて、『極道の妻立ち』シリーズや角川映画で、どうもあまり見るものがない(と私的には感じる)1970年代後半から80年代にかけての日本映画をこっそり支えてた人として再評価したいところです。映画音楽の佐藤優みたいなもんか。
 高田宏治に川内弘を紹介した人は、京都のヤクザ・中島源之助(中島組)の元徒弟で、人がよくて犬猫好きの並河正夫という人です。
 オシャレで映画好きで一番稼いでいたときには裏金で年収20億あったという神戸のボス・菅谷政雄は、東映京都撮影所にヤクザ映画を持ち込んだプロデューサー・俊藤浩滋と幼なじみで、俊藤浩滋は菅谷をモデルに『神戸国際ギャング』(1975年)という映画を作りました。
 しかしこのあたりの話をしようと思うと、ぼくが全然見ていない東映実録映画とその周辺を100本ぐらい見て、周辺書数十冊ぐらい読まないといけない。
 とりあえず、『まむしの兄弟』シリーズでも見ようかな。