砂手紙のなりゆきブログ

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映画監督の仕事はスタッフのみんなの質問に答えること(アメリカの夜)

 トリュフォーアメリカの夜』のフェラン監督(その真の姿はフランソワ・トリュフォー)いわく、「質問! 質問! あまりに質問されるもんだから、考える時間がない!」
 映画から想像される映画監督の仕事ぶりはこんな感じ。
 まず、衣装係が白のシャツを持って来ます。
スノーホワイトとピンクホワイトとミルキーホワイトとアンバーホワイトのシャツを用意しましたが、どれがいいでしょうか?」
監督「照明と撮影とセットと小道具の人間に聞いてみよう」
照明「背景が白の多いシーンなので、白すぎるシャツを使う場合には人物の背後に照明をもう一つつけるか、背後の壁に暖色系の照明を当てる必要がありますが、どうしましょうか?」
撮影「カメラの位置はロー・ハイどちらも可能だが、移動すると照明が写らないようにするのは難しいし、予算とテストに1時間欲しい。シャツの色は暖色系の白にすると人物の顔が暗くなるし、寒色系だと撮影に自信がないわけではないが、時間がかかる」
セット「なんでも言われた通りにしますが、伯母の葬式に行かないといけないので、今日の午後5時以降は2日間助手にまかせます」
小道具「この壺だとシャツの色は白じゃなくて黄色に白が混じっているぐらい黄色いほうがいいです」
プロデューサー「あと3日で20シーン撮ってくれ。予算がない」
監督「背後から少し照明を当てよう。この位置でカメラの邪魔にはならないかな。ややローポジで、回りすぎないように。壺の位置はあと30センチ右にする。テストは40分、明日までに10シーンまでは撮る。衣装には45分後に連絡するから、シャツが決まったら同じものを10枚用意してくれ」
プロデューサー「予算がない」
監督「じゃあ、シャツは5枚」
プロデューサー「時間がない」
監督「テストは30分で」