砂手紙のなりゆきブログ

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映画の中の人は何度も同じことをやらされてて、浦島太郎の亀は過去を改変しにきているという設定のMGMミュージカル映画

 映画の撮影には普通最低「段取り」「テスト」「本番」と3回同じことをやらなければいけません。その3回のうちうまくいかないのがあれば回数は増えます。
 本番は出演者がヘマしなければ1回ですが、トリュフォーにはどうも、『アメリカの夜』で見せたように、同じようなカット何度も撮る監督のイメージがない(金がかかります)。
 クリント・イーストウッドは役者時代に、監督の指示による意味があるのかないのかわからないリテイク(撮り直し)にうんざりしたため、監督になって自分で映画を撮るようになってからは、大抵のショットは本番1回で済ませました。
 黒澤明は本番前に何度もテスト(リハーサル)するんですが、馬に乗ってる人に8回ぐらいいろいろやらせたあげく「じゃあ2番めの奴で本番やってみよう」って言ったので、役者の人は頭にきて、監督を蹴り倒すぐらいの勢いで馬を走らせたら「ごめん! ぼくが悪かった、本番これでよし!」って言いました。
 馬に乗ってる人と武器を持ってる人を怒らせてはいけない。
 ところで浦島太郎の話に出てくる亀は、何もしないでいると浦島太郎の子孫が工場を作って海水汚染・環境破壊してしまうので、それを防ぐために未来から過去を改変しようとやってきたタイムトラベラーです。
 いじめ役の子もちゃんと事前に亀が買収してる。子供たちは浦島太郎からも金をもらうので賄賂の二重取り。
 撮影はMGMのスタジオでやりましたが、ただちょっと亀と浦島太郎の出会うタイミングがうまくいかないので8回リテイク(時間改変失敗)している。子供と亀の撮影はそのくらい難しい。
 浦島太郎はジーン・ケリー、乙姫様はレスリー・キャロンがいいです。ジーン・ケリーはむしろ亀のほうか。