砂手紙のなりゆきブログ

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クリント・イーストウッドの黒歴史時代と黒澤明

 クリント・イーストウッドのあまり知られていない特技に水泳とピアノがあります。あと歌と踊り(歌はレコード1枚、勢いで出してみたけど2枚めの話は丁重にお断りしたそうです)。それに映写技師。
 朝鮮戦争のさなかの1951年春、軍隊に入ったクリント・イーストウッドは、当時カリフォルニア州モントレーにあったフォート・オード米軍基地で、ハリウッド関係者を集めた特別部隊の連中に水泳を教えることで映画関係の知人ができ、兵士の訓練のための映画を何十回も見ることで楽しみのためではない、分析のために映画を見るコツを身につけました。
 女と酒とプールでの馬鹿騒ぎに明け暮れた2年間の自堕落な兵役を終えて、1953年の夏にロスアンゼルスに戻ったクリント・イーストウッドは、あまり彼の場合には役に立たなかったメソッド演劇法を大学で少し学んだあと、ガソリンスタンドとプール作り(穴掘り)のアルバイトをしながらユニバーサル映画の仕事(端役)を1954年から1年半ほど続けましたが、1955年の10月にいきなり解雇されました。
 テレビドラマ『ローハイド』で1959年に名が売れるまで、来る仕事のほとんどは彼を妙に評価していたアーサー・ルービン監督と、その知り合いの監督のものだけ。それも端役。
 クリント・イーストウッドが軍隊時代に黒澤明を知っていたので、なんか黒澤明っぽいセルジオ・レオーネ監督の『荒野の用心棒』(1964年)の出演依頼を受けた、と書いてある本もあったけど、本当かどうかはわからない。
 軍隊時代に公開された黒澤明の映画は『白痴』(1951年)『生きる』(1952年)で、多分英語字幕なんかなかったと思う。『羅生門』(1950年)は見ていたと思うけど、『七人の侍』(1954年)以前は武士の出てくる映画撮ってたっけ。『虎の尾を踏む男達』(1952年公開)はどうだったんだろう。