砂手紙のなりゆきブログ

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『ハケンアニメ!』第一章の話はイクニ監督っぽいなと思ったらあとがきに書いてあった

 小説『ハケンアニメ!』(2014年、辻村深月)を読んでます。アニメ業界を題材にした、働く女性の連作短編みたいなもので、第一章では伝説の名作を作ったけど、その後いろいろやらかしてなかなか監督をやらせてもらえないイケメン監督と、その作品をプロデュースする(多分)ナイスバディな女性の話です。
 タイトルの「ハケン」は「派遣」じゃなくて「覇権」。
 毎年1シーズンに20作以上の新作が出るけど、売れるのはせいぜい3つぐらい、というこの業界の厳しさを描いています。
 ただ、こういう話はちょっと男性には書けないですね。男性作家が書くともっとくだらなくしてしまう。
 監督は大手アニメ会社魔法少女ものを手がけて、アニメのヒロインが殺せないので嫌になって、この話の女性プロデューサーに「しっかり殺す話をやりませんか」という誘いに乗って9年ぶりに復帰するんですが、失踪したあげくギリギリのところで絵コンテ仕上げて池袋のビルの屋上で、
「人がゴミのようだって思ってる?」
 などとたわけたことを言いながら、プロデューサーと再会します。
 これは…どう見てもイクニ(幾原邦彦)監督。
 で、あとがき読んだらちゃんと謝辞の文に書いてあった。
 ただ、イクニ監督の技法寺山修司の演劇に影響受けてるんで、
「海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手をひろげていたり」
 とか、ハワイ帰りを気取ってるんでつぶやいて欲しいですね。
 まだ著作権あるから駄目なのか。だったら宮沢賢治でもいいや。
 しかし肝心のこの監督が作ることになっている『運命戦線リデルライト』は、「春のハケンアニメ」とか言ってるんだけど、放映前の記者会見の会場はハロウィンが終わって早めのクリスマスツリーが飾られてる、とある11月のホテル、というのは少し変だな、と思った。そこで話をするんだったら「冬アニメ」(12月・1月に放映開始するもの)じゃないの? イクニ、じゃなかった、王子千晴監督のライバル作も4月から放映みたいだし。
 まあ文庫になったらあれこれ直すのかな。
 ちなみに2015年冬の覇権アニメは、
艦隊これくしょん -艦これ- 』
冴えない彼女の育てかた
蒼穹のファフナー EXODUS』
 だったみたいです。
 幾原邦彦の『ユリ熊嵐』は…あまり話したくない…あんなに面白い話だったのに。