砂手紙のなりゆきブログ

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萩尾望都「10月の少女たち」真知子の話に関する3つの謎

 萩尾望都「10月の少女たち」は雑誌「COM」1971年10月号に掲載された、萩尾先生が22歳のときの作品です。内容は3つに分かれていて、その真ん中にあたる7ページの作品が日本の高校生・鈴木真知子と、その家に家庭の事情で一時預かりになる父の友人の少年・米山行(よねやまこう)の物語です。
 少年はサッカーとSFが好きで、晩夏にやってきて、新学期に真知子と同じクラスになったり、真知子の着替えを覗いたりします。ついでに日記も覗いて、「読むならアシモフヴォークトだぜ」と(当時の)SF少年みたいなことを言います。
 謎の一つは、この「同じクラス」「着替え」という設定を、萩尾望都が当時の少女漫画のメタなネタとして、要するにパターンをパターンとしてやったのか(その時代ですらそういったネタは陳腐なものだったんだけど、COMって男性向けの雑誌なのでわざとやってみたのか)、今となっては鈴木清順監督『東京流れ者』(1966年)の「流れ者には女はいらないんだ」というセリフが、シリアスなのかメタなのかわからないのと同じぐらいわからないことです。5年前に西谷祥子がやってたらマジで、5年後にみなもと太郎がやってたらギャグだと分かるんですけどね。
 あと、この話の主人公の名前はどう考えても映画『君の名は』(1953年。ラジオは1952年)のヒロイン・氏家真知子が由来なんだろうけど、「行」の由来が不明なんでもう少し知りたい。この子が16歳なら1955年生まれ。今の高校生でレイとかアスカとかさくらがいるみたいな感じ。
 それから、真知子さんは話の中で夏の高校の制服と、私服を3つ着ますが(正確には1つは着替え中)、衣替えしないのはなぜ? 冬服にしないと「10月の少女たち」にならないよ?

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