砂手紙のなりゆきブログ

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東宝の映画で「墓」という字が出てきたのは『火垂るの墓』(1988年)が最初?

 雑誌「文學界」2015年5月号の映画特集記事で、スタジオジブリのプロデューサーである鈴木敏夫は以下のように述べています。P72

『「火垂るの墓」(高畑勲、八八)の時は、配給の東宝が「タイトルに墓を入れるのはやめてくれ」と言ってきた。結局野坂昭如さんの原作通りということで押し切りましたけれど、「明るく楽しい東宝映画」では死をイメージするネガティブな言葉はご法度だ、というのが向こうの言い分でした。
「じゃあ、『野菊の墓』はどうなるんですか」と聞いたら、「松竹ですけれども、木下惠介監督のものは「野菊の如き君なりき」(五五)に変えています」と来た。ちなみに「野菊の墓」は東映でも映画化されていますが(澤井信一郎、八一)、これは原作通りのタイトルだった。東映には「仁義の墓場」(深作欣二、七五)とか、「墓」を使ったタイトルがたくさんあるから大丈夫だったんでしょうね』

 …そんなに東映の映画に「墓」がつくの多かったっけ。
 どうも『仁義の墓場』以外には『やくざの墓場 くちなしの花』(1976年)ぐらいしか思いつかない。(追記:『俺達に墓はない』(1979年)もありました)
 それから、ちょっと待った!
 松竹映画だったら『太陽の墓場』(1960年)と『八つ墓村』(1977年)があるやん。大島渚野村芳太郎ですよ?
 タイトルを『八つバカ村』にでもしろというのか。
 渥美清「よおお前ら、あいかわらずバカか?」
 なお、東宝市川崑作品『八つ墓村』は1991年公開です。
 タイトル変更がなかったのは『火垂るの墓』のおかげ。