砂手紙のなりゆきブログ

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落語「はてなの茶碗」の原案をテキスト化するだけの簡単なお仕事(宿駕籠の寝耳に水の洩る茶碗の掘出し)・その3

 これは3回めです。

 

落語「はてなの茶碗」の原案をテキスト化するだけの簡単なお仕事(宿駕籠の寝耳に水の洩る茶碗の掘出し)・その1

落語「はてなの茶碗」の原案をテキスト化するだけの簡単なお仕事(宿駕籠の寝耳に水の洩る茶碗の掘出し)・その2


 ということで、うまく儲けた道具屋の正作さんの話を聞いた近所の孫太郎、同じようなことを自分でもやってみようと算段します。近代デジタルライブラリー『滑稽文庫. 第3編』、コマ番号21から。

『…われら側にあるゆへ何とも云はず其儘にさし置けるが定めて頓て跡へ廻り、安く見おとすべき底工みならん、よしよしと心にうなづき、芝居の敵役がするやうな手つきしてひとり呑込、打つれて此所を立出けるが孫太郎途中より引ッぱづして、かの茶店へ立戻り、親父に囁きナント今の茶碗、われらへ売てくれまいかと云ふに、親父眉に皺を寄せ、是はわしが不断の茶呑茶碗売物では御座らぬ、瀬戸物屋で買しやりませ、此やうな茶碗はいくらも御座る程にと云ふ、イヤイヤ外にあつても其は望にない、是非その茶碗、見所あれば求たいと、せきこむにぞ、親父さてはと欲心起り、わしは何も知りませんが、こちの内に古く持伝へてあるから、遂わしが平生の茶呑茶碗にしましたが、こちの先祖は、とんだ茶の湯ずきであったと云ふこつたから此茶碗も何ぞでがなあらう、お前いくらに買しやりますと、足元を見込だ様子、孫太郎猶このもしく、南鐐一片からつけ上て、とうとう金貳分にて手を打ち、買取て戻り服紗に包み桐の箱に入れて、持歩き、何處っへ見せても相手がなき故、詮方つきて孫太郎、正作かたへ持参し、対面して申しけるは、貴殿見覚えあるべし、われらこの茶碗を求めたり、何程の値打ありは、承りたしと件の茶碗を取出し見すれば、正作もつけな顔して、之は粟田の製にて、いつれの瀬戸物屋にも沢山にあるもの、せいぜい廿四文ばかりもいたす物なりと云ふに、孫太郎肝をつぶし、偖は左様か、何を隠し申すべし、ありやうは、斯様斯様と、正作が鶴ヶ岡の茶店にて水呑みし茶碗の由を語り、必竟貴殿が物ありさうに、ためつすがめつ見られし故、是は唯の茶碗ではあるまいと悪推廻して何でも商売人の目のつけたる代物、儲かりさうな事と欲心気ざして、貴殿の目利をあてに、茶見世の親父に無心云ひかけ金貳百足にて、買取たるが、偖は何にもならぬ代物とや、」

 ということで続きます。
 茶店の親父から金貳分でどうということのない茶碗を買ってしまった孫太郎は、どうにもこうにも納得がいかないので、道具屋の正作のところへ直談判に行きます。とまあ、だいたいここまでは上方落語はてなの茶碗」とだいたい同じあらすじ。落語のほうでは孫太郎は大阪から出た流しの油売りということになっていて、もう少しキャラづけがしっかりしています。

 

続きはこちら。

落語「はてなの茶碗」の原案をテキスト化するだけの簡単なお仕事(宿駕籠の寝耳に水の洩る茶碗の掘出し)・その4