砂手紙のなりゆきブログ

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役者として役者を見ている『前田敦子の映画手帖』

 元AKB48でテレビドラマや映画の俳優(女優)としても人気のある前田敦子はせっせと映画を見ている人で、『前田敦子の映画手帖』(2015年)によると1日5本も見ていたことがあるという恐るべき映画中毒者(シネマディクト)です。
 その本に出ている映画の感想が、ぼくがいつもダラダラと語っている映画の感想と全然違っているので驚きます。
 とりあえず、冒頭でオードリー・ヘプバーン原節子など、いかにも朝日新聞好きなジジイが食いつきのよさそうな映画を紹介して、いきなりゴダールの『女は女である』(1961年)。

『想像した以上に、すっごくかわいい映画でした。女友だちと2人で見たんですが、かわいいポイントが多すぎて、ずっとキャアキャア言ってました(笑)。
(中略)変わった演出も楽しい。急に役者さんが静止して解説みたいな字幕が流れたり、セリフを言いながらなぜかカメラ目線になったり、衣装やセリフも含めて、全編おしゃれな雰囲気なのもいい感じです。
 ちなみにゴダール監督とアンナ・カリーナさんの作品では、「気狂いピエロ」も私は大好きです!』

 そういう映画だったのか。
 だいたい、この映画はこういう話で、この映画の中の○○さんはこういう演技をして、みたいな語り口なんだけど、話の構造とかカメラの演出とかあまり話してないのよね。主に映画に出ている人、それも女優が中心。これは男性俳優に興味がないんじゃなくて、男性俳優はあまり自分自身の演技の参考にはならないし、自分の好みの男性の話をしても、朝日新聞好きなジジイには喜ばれないんじゃ、という配慮からですかね。
 そんな前田敦子がいちばん熱く語っているのはアメコミの映画。
 ブルーレイでそろえたい3部作は…何だと思います? 「ハングオーバー!」シリーズ。
 こういうふうに、キャラに興味を持って映画を見ている人は、本当にせっせと映画を見て、ちゃんとそのあらすじをうまく人に話せるんだよね。
 ぼくの映画の感想なんて読んでも、普通の人にはどんな映画でどこがよかったのか、そもそもどんな話なのかみなさんさっぱりわからないでしょう。