砂手紙のなりゆきブログ

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映画で一番大変なのは照明で、次が撮影・編集だと思うんだけど、そんなのを目的で映画を見る人なんて誰もいない

 映画は普通、役者で見ようかな、って気になって、クチコミで足を運んで、帰りに監督と脚本の人の名前だけは覚える。
 映画がつまらなかったら、それは役者のせいじゃなくて監督と脚本家のせい。
 でも、照明はとても大事。
 ショット(カット)が変わっても、同じような色調に揃えるのって、特にカラーの時代って大変です。
 ただ、現在見られる古い映画、たとえば『散り行く花』(1919年)なんて、明らかにショット(カット)で色調が違うのに、そんなこと気にならないいい映画なんで、やっぱ脚本が一番大事かな、とか思う。
 照明で注意しないといけないことは、光は距離の自乗に反比例して弱まる(要するに光源から2メートルの物体には、1メートルの物体の4分の1しか当たらない)のに、人間の目はそれをうまいこと補正する仕組みがあるんで、その通りに撮影してもさっぱりうまくいかない。そこらへんを何とかするのが職人の技術です。
 光を出すものはものすごく電力を使うので、そういうのを使わせてもらえなかった人たちは予算節約のためにセットではなくてロケ撮影を積極的にするようになりましたが、自然光で照明代は節約できたんだけど結局太陽の光は10分もすると当たり具合が全然違ってたり天気に左右されたりして、セット撮影とあまり変わらない製作費になりました。