日本女性SF史(栗本薫登場以前)
SF業界における翻訳業は、比較的早くから商売がありました。
早川の銀背と言われていた新書判のシリーズで、一番最初に出た女性SF作家はジュディス・メリル『宇宙の妖怪たち』(1958年)だと思われがちですが、これはただの編者なので、ウィルマー・H・シラス『アトムの子ら』(1959年)ということになります。まだSFマガジンも鉄腕アトムのアニメもなかった時代(漫画はあった)。
雑誌のSFマガジンだと、1960年5月号(4号)にキャロル・エムシュウィラー「狩人」というのがあった。訳者は神谷芙佐(後に結婚して小尾芙佐になりました)。これがSFマガジン最初の女性訳者かどうかはちょっと不明。
ところが、日本の女性作家となると延々とないのよね。
1975年11月号、女流作家特集で鈴木いづみ「魔女見習い」と山尾悠子「仮面舞踏会」が掲載されるんだけど、いくらなんでも15年もSFマガジンに女性作家が掲載されてなかった、なんてことはないんじゃないかな(読者投稿作品としては何作か掲載されています)。
大原まり子は1980年7月号「一人で歩いていった猫」、栗本薫は1978年12月号「ケンタウロスの子守唄」。翌年からグイン・サーガがはじまるという次第。
ざっくり1970年代後半になってようやく日本の女性SF作家が出てきたという感じ。