砂手紙のなりゆきブログ

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机の上で踊る人を下方向から撮る場合は天井が写る(RENT/レント)

 映画『RENT/レント』(2005年)は、プッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』(初演は1896年)を現代の、というかまあ1980年代末のニューヨークのイーストヴィレッジの芸術家たちの話にした、1996年初演のミュージカルを映画化したものです。
 もとの『ラ・ボエーム』においても作中の話は約50年ぐらい前で、別にプッチーニがその戯曲を書いたわけではないし、成立事情はいろいろややこしいんですが、そんなのはだいたいウィキペディア読めばわかるんで省略。
 映画的には話としてあまり面白くはないんだけれど、とりあえず見ておかなければいけないミュージカル映画のひとつです。
 たいていのミュージカル映画は、その全盛期時代でも人におすすめできるような映画はあまりない(話として面白くない)ですな。例外として『ヘアスプレー』(2007年)ぐらいはあげておいてもいいか。これは面白かった。
 しょうがないので、なんか英語の勉強してる気分になるなあ、と思いながら英語字幕で見て(それだと歌詞が英文なので、変な日本語訳よりまし)、撮影のしかた(ショットの刻みかたとか。特にデュエット)と編集の勉強の気分で見ています。
 その面でいうと、この『RENT/レント』はとてもいい映画です。
 監督の頭の中に、どういう角度から俳優を撮り、こういう風に歩いていく場面はこんな感じでラインを作っておいて、遠近感・動感はこんな感じで表現する、という、歌っている場面以外のすべてが参考になります。こんな監督は市川崑以来です(個人的に)。
 で、この映画では(舞台もそうらしいんだけど)、机の上に乗って歌って踊り出すわけですが、そうなるとカメラは下から上を、あおり気味に撮ったほうがかっこいいんで、必然的に天井が写ります。
 恋人が死にかけてるところに向かって歌う男性の、歌うところにもちゃんと背景に天井が写ってる。
 いや、本当につまらないことなんですけど、いつごろからしっかり天井が写る(映画として写す)ようになったのか、不思議なんだよなあ。
 まあ「上の階が騒々しいな」と言う人物の顔の次に天井を写すという、にせ天井はミュージカル映画のかなり初期からあるんですけどね。