砂手紙のなりゆきブログ

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アニメの時間と落語の時間(唐茄子屋政談)

 だいたいテレビ放映のアニメは正味20分ぐらいで1話が終わるようにできてます。
 原稿用紙だと400字詰めで20枚ぐらい。
 シナリオライターは200字詰めで昔は書いてたようですが、それだと40枚。
 落語もラジオ放送で流されるようになってから、なんか30分以内の話にされちゃった。
 古今亭志ん生の『替り目』なんて、途中で終わってるもんだから、それだけ聞いてもサゲはわからない。『らくだ』も同じ。
 志ん生ぐらいサゲを真面目にやらなかった人はいないですな。途中面白いんだけど、いきなり終わる。
 で、人情話として有名、だと思うんですが(サゲがないので落語じゃない)の『唐茄子屋政談』、八代目林家正蔵が話すと冒頭はこうなります。

「道楽のあげく徳兵衛が、家を勘当をされまして、お天道さまと米の飯はついて回るっつうたが、そうもいかない。米の飯がなかなかついてまわらない、乞食同様の姿になって、吾妻橋の上から身を投げようというところを、叔父さんが通りあわせて助けられた。だるま横丁の叔父さんのところで一晩寝まして明くる朝」

 と、ここまでが出囃子を含めて1分20秒ぐらい。
 残りの25分で話をまとめちゃう。
 古今亭志ん生で面白いところをざっくり切ってて、なおかつ面白いんですな。
 志ん生だと前の晩の話として、叔父さんが、奥さんが蚊帳を貸そうというのを止めて、

「こんな馬鹿にそんなのいるかってんだ。こんな奴の血を吸ったら、蚊が馬鹿になっちまわあ」

 とかくだらないこと言って、徳兵衛の唐茄子売りの声で、ほぼいきなり終わる。
 金原亭馬生林家正蔵の話芸というのは、実に勉強になります。