砂手紙のなりゆきブログ

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シーからユーに変わる、恋の応援歌としてのビートルズ

 恋の応援歌を作った人としては渡辺美里が(多分)有名です。
 その真似をした小室哲哉が人気出たけど、多分オリジナルはビートルズの「シー・ラヴズ・ユー」。
 ビートルズのシングル盤、初期の5作を聞くと、アイとユー、シーは明白に分かれてるんだけど、アルバムのほう聞くとどうもすっきりしない。
 最初のアルバムの最初の曲、「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア 」なんて、過去形でおまけにハー(her)。
 この歌のアイは、ポール・マッカートニーなのか擬似一人称なのかわからないのよね。
 一人称だけど物語にしてる。
 どうも初期のビートルズは自分たちをアイドルグループだと思ってなかったとしか思えない。
 恋する人たちを応援する歌として作ってたんだけど(バックバンドみたいな感じで)、突然、自分たちのファンは恋人いないんじゃ? 女子ばっかりだし、ってことに気がついて、ユーを「ぼくらの音楽を聞いてるあなたたち(=女子)」に変えたとしか思えない。
 ビートルズ、というかポール・マッカートニーが明白にユーではなくシー(彼女)とアイの歌として歌っている(物語性を強くしている)のでは「イエスタデイ」とそれ以降があるんですが、だいたいそういうのはシングル盤になってない。
 現在は擬似一人称で歌われる歌というのはめっきり減って、「僕は君が好きだ」はたいてい「歌っている歌手は聞いてる人が好きだ」と解釈できるような感じの曲になってます。