砂手紙のなりゆきブログ

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会話しているふたりの撮りかたはみっつある(長井龍雪)

 会話しているふたりの撮りかたはみっつあります。
1・話している人を撮る
2・聞いている人を撮る
3・両方を撮る
 デジタル時代のカメラというのは、フィルム代に相当するものがとてつもなく安く済むので、会話シーンだと何台もカメラ置いて撮って、ものすごく頑張って編集することになります。
 なにしろ、話している人ばかり交互に写しても退屈だし、聞いている人ばかり写したらわけがわからなくなる。
 基本的に、まず話している両方を撮って、お互いの立ち位置を見ている人に示したあと、話している人:聞いている人を、話の内容に合わせて7:3~8:2ぐらいで混ぜる。
 実写の人間の表情というのはアニメと違って、聞いてる人のアクションを大きくするとアニメみたいになりすぎます。
 話している人は多少アクション大きめでもかまわない。
 つまり、本当は聞いている人のアクションのほうが大事なんですけれど、そういうことは普通の演劇学校ではあまり教えない。
 ふたりですらこんだけややこしいんだから、数人となると素人にはとても手に負えない。
 アニメの場合は、相手のセリフでハッとするアクションがそんなに実写の場合と比べると違和感ない(大きくなっても、アニメだから、と見ている人は理解してくれる)ので、割と聞いている人のアクションがしばしば入ります。
 ただこの技法って、やりすぎると本当にくどくなるんで、長井龍雪みたいな達人以外は気をつけたほうがいい演出です。
 …聞いている人を写す(話している人を写さない)というのは予算の問題とかもあるのかな。