砂手紙のなりゆきブログ

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どうもぼくは1960年代中ごろから10年間ぐらいの映画が好きらしい(北国の帝王)

 1960年代の映画の、いかにも嘘っぽい、映画っぽいハリウッド映画がどうもぼくは好きみたいで、多分これは東映時代劇が好きなのと同じ心理です。
 いかにもスクリーン合成な背景、スタントマンにしか見えないスタントマン、あとからまとめて撮ったような顔のアップとアクションの、変な(それなりに完成されている)組み合わせ、機材の関係でそんなにカットを刻めない演出。
 そういうのはだいたいショーン・コネリーがやってたころの007のシリーズでは楽しめますが、監督としてはロバート・アルドリッチを推してみたいです。
 ロバート・アルドリッチは1950年代に監督になって、1980年代はじめまで映画を撮り続けた人で、西部劇を中心に題名を言えば思い出すであろう名作がいくつもあります。
 非常に広い視野と、適切なカメラ位置で撮られた映像が素晴らしいんですが、特に『北国の帝王』(1973年)はおすすめです。
 これは、1930年代の大不況時代に、蒸気機関車が引っ張る貨物列車にただ乗りしようとする放浪者(ホーボー)たちと、列車の車掌というか見張り役との死闘を描く、実に楽しい映画です。
 風景が美しくて、音楽がうるさくなくて、ミュージッククリップ世代の監督みたいに細かくカットを刻んでなくて、おまけに最後のアクション・シーンは同じところで何度も撮ったのがほぼ丸わかりの、同じような背景が出てきて列車が進んでないように見えるのがすばらしいのです。