消える図書館
第一次安倍政権のとき、2006年12月に、戦後定められた教育基本法が大改革されました(まあ立法には内閣の構成員は関係ないんですが、一応区切りとして)。
改革の目玉は道徳教育と愛国と生涯学習ですが、はじめのふたつはともかく、最後のひとつをひとつのよりどころとして、図書館は幅広い教育・学習の場と位置づけられ、かつては図書館単体として施設になっていたものが、ぞくぞく学習室・ホールなどを持った地方公共団体の複合施設になっていきました。
1980年代後半から1990年代にかけて作られ、日本各地で存在していた図書館という建物は、21世紀になって老朽化が進み、耐震とか雨漏れとかにその場しのぎの対策をしていましたが、さすがにもういろいろ限界っぽいというので建てなおすことになると、図書館単体では予算の都合がつかないということで、建設費を複合施設化して何とかする、という算段になりました。
建物をたてる予算もないところは、駅前の、かつての大規模ショッピングセンターだったようなところに図書館を移したりしてます。まあ要するにだいたいのところでは図書館という館ではなくなりつつある。
東京郊外の麦畑と同じく、ひとつの建物として存在していた図書館は、しだいに特定の世代にだけノスタルジアなものになっています。
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