砂手紙のなりゆきブログ

KindleDPで本を出しました。Kindleが読めるデバイスで「砂手紙」を検索してください。過去テキストの一覧はこちら→http://d.hatena.ne.jp/sandletter/20120201/p1

ミステリーの読者は5手先を読み、作家は7手先を読む(縁台ミステリー)

 だいたい素人でもミステリーを1000冊ぐらい読めば(というと大変な量に見えますが、毎日1冊読めば3年です)、第一容疑者は犯人じゃなくて、400ページぐらいの本で100ページぐらいのところでそいつは死ぬか殺されるか、ということになるのがわかります。このあたりまでは多分将棋の序盤戦で、ここからが本格ミステリーの場合は作者と読者の知恵比べになります。
 一番簡単なのは、死んだ・殺されたと思った奴が生きていて、犯人が過去のトラウマを持っているというのを犯行の動機にすることで、慣れてる人(といってもミステリー1000冊ぐらい読んでいる人)は、ああこの登場人物は死んでいるように作者は書いてるけど、どうせ生きてるんだろう、みたいに思います。
 そういうのは縁台将棋と同じようなもんで、縁台ミステリーです。
八「お前今んとこ、どのくらい殺してる?」
熊「関係のあった女性三人に弁護士と金持ちの伯母、義理の弟に探偵かな」
八「ちょっと待てよ。探偵を殺したんじゃミステリーの謎が解けないじゃないか」
熊「そこなんだよ。俺が作者・探偵取りって言ったら、向こうのほうがよ、その手は食うか、って作者逃がしたもんだから…この話、どうやって終わらせよう」
八「まあなあ、作者が死んじゃったおかげでわけわかんなくなったミステリーもあるからな。それよりはマシだろう」