アシモフのロボットものとミステリーとの関連
アシモフのロボットが出てくる話はだいたい、ロボット工学三原則にしたがって論理的に行動する(論理的にしか行動できない)ロボットが、どういうわけか非論理的にしか見えない行動をして、その論理を見つけるというのが基本の話です(長編では例外もあるかもしれない。全部読んでないけど)。
同一テーマで短編を書き続けたSF作家ってあまり知らないけど、ミステリー作家でこの人に近いのはブラウン神父を書いたG.K.チェスタトンです。
チェスタトンみたいな短編を書こうと思うとたいてい失敗して、アシモフみたいな短編になります。
論理的な狂人というのは、創作上ではなかなかうまくできないんですよね。
頭がおかしい人でないと頭がおかしい人の出てくる話は書けないんだけど、頭のおかしい人が書いた話は本当に何が書いてあるのかさっぱりわからない。
たまにうまくいくと、シオドア・スタージョンやスタンリイ・エリンの名短編みたいになります。あるいは古今亭志ん生の落語か。
「おい、火事だぞ」「火事って、どこだ、お前がか?」「馬鹿言うなよ、俺が火事なわけあるかよ。熱くってしょうがねぇや」
こういうやりとりなんて、頭がおかしくないと考えられない。