『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のいいところは、ワイプをちゃんとやっているところ
ワイプというのは、場面転換をする際に、画面のヨコとかタテとかからカーテンが引かれるみたいに変わる技法で、昔の白黒映画や、白黒時代のテレビによく使われていましたが、最近はほとんど見なくなりました。
この技法が特徴的なのは黒澤明監督で、『スター・ウォーズIV 新たなる希望』(1977年)という、ぼくが見たときにはそういう題名ではなかったんですが、その作品の中でジョージ・ルーカスが黒澤明を真似してるのは多分ワイプの使いかたなんじゃないかと思う。
昔見たときでも古くさい(けどそれがいいんだよな)と思ったんだけど、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年)でも、ルーカスは何も関与していないはずなのに、ちゃんとそれやってるんだよね。
コメディ映画とかコミカル系のアニメでは今でも使われることはあります。
要するに、今の映画としては古くさくなる代わりに、物語性(虚構性)が強くなる。
講釈師の「いっぽうそのとき、ベイダー卿は…」みたいな節回しの感じですかね。
しかし、ヒロインのレンが街(市場)に行ってるシーンには驚いた。アイリス・アウトですよ。要するに場面が丸囲みで小さくなっていって、その周辺から別の場面になるという技法。その場面以外にも2回ぐらいそれやってるんで、これから見ようと思ってる人は確認してみてください。
スター・ウォーズ第一作では、たとえばワイプはこんな風に使われています。
1・かくしてなんとか脱出したR2D2とC3POは砂漠の惑星に着き(と、画面右下から左上にワイプ)
2・お互い別々の方向に行くことにした2体のロボイド。C3POのほうは(と、画面下から上にワイプ)
3・トランスポートを見つけたC3POは大声で助けを求めます。いっぽうR2D2は荒れ果てた谷を歩き夕暮れの風情(と、画面両側から中央にワイプ)
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