砂手紙のなりゆきブログ

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向かって左側の後輩に話している主人公が、右から来た先輩に向きを変えて話すアニメが好き(ラブライブ!)

 それは『ラブライブ!』(2013年)の最終話、神社の階段のところのシークエンスです。
1・まず階段を登る小泉花陽が映って、それに画面の向かって左側から星空凛が「かよちん遅いよ~」と話しかけます(ふたりは一年生で友だち)
2・「久しぶりだときついねー」と画面の左側で正面を向いて話している小泉花陽の右側から、高坂穂乃果(主人公で二年生で小泉花陽たちの先輩)が階段を登ってきます
3・画面の左側にいるふたりに高坂穂乃果は「りんちゃん、はなよちゃん、練習続けてるんだね」と話しかけます
4・そこに突然矢澤にこ(三年生で高坂穂乃果たちの先輩)が画面切らないで(カットしないで)向かって右からやってきて「当たり前でしょ」と言います
5・で、四人のスリングショットが、向かって左から小泉花陽星空凛高坂穂乃果矢澤にこという風に並んで、矢澤にこ先輩が「好きだから」と言います
 ここから先は怒涛のカット割りで、どうにもこうにも素晴らしさが表現できないんですが、とりあえずにこ先輩のセリフで、
6・にこのセリフを聞いて涙目になる穂乃果。にこは肩ナメで写ります
7・「にこはアイドルが大好きなの」と、向かって右側のにこが左側の穂乃果に話します
8・「みんなの前で歌って、ダンスして、みんなと一緒に盛り上がって」と、ここはにこのアップ
9・「また明日から頑張ろうって」と、にこの話を聞いている一年生ふたり(にこは写らない)
10・「そういう気持ちにさせるアイドル」ここは6とほぼ同じ構図
11・「私は大好きなの」と、8と同じ構図
 何がすごいって、にこ先輩のセリフをシナリオでもらったとしますよね。
「にこはアイドルが大好きなの。みんなの前で歌って、ダンスして、みんなと一緒に盛り上がって、また明日から頑張ろうって、そういう気持ちにさせるアイドル。私は大好きなの」
 このシナリオでこんな風に画面を作るなんていう発想は普通はない。
 溝口健二だったら多分できるし、映画1000本ぐらい、映画の構造(文法)を理解するためだけに見たような人ならできるかもしれない。
 アニメだけなら、いくら見てても多分無理なんだよなあ。