砂手紙のなりゆきブログ

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ヘルマン・ヘッセ『デミアン』の人名表記(デューン)

 フランク・ハーバートの『デューン 砂の惑星』(原書は1965年、ってもう半世紀も前か)の、 酒井昭伸による新訳が出てました。
 ハルコネンとかハルコンネンとかはどうでもいいんですが、コーランはさすがにクルアーンには今さら直せない。
 それで思い出したのがヘルマン・ヘッセデミアン』(原書は1919年)の主人公Emil Sinclairの日本語表記です。
 Emil Sinclairは、ヘッセが当初使用したペンネームでもありますが、これを高橋健二新潮文庫)は「エーミール・シンクレール」と訳し、実吉捷郎(岩波文庫)は「エミイル・ジンクレエル」と訳しています。
 ドイツ語では、iの前のsは濁る(ジになる)ので、シンクレールはちょっと変かな、ぐらいに思ってた。
 これに関しては、ヤフー知恵袋の「ヘルマン・ヘッセとドイツ語についての質問です。」という質問と回答がとてもていねいなので、そちらを読んでください。
 ドイツ語に関してはさっぱりなんですが、そこの記述によると、

『シンクレール』は、前半が英語に基づいた読み、後半がフランス語に基づいた読み
『ジンクレエル』→『ジンクレール』は、前半がドイツ語のつづりに基づいた読み、後半がフランス語に基づいた読み

 だそうです。
 でもって結論としては、

『名前に関しては本人に聞くしかないですね』

 というのがベスト・アンサーになってます。
 でもって、ウィキペディアの『デミアン』のページを見たら、原書の初版の画像が掲載されていまして…ななな何と。
 Emilのiと、Sinclairのiとでは形が違う。
 これはひょっとして、フランス語&英語読みの「シンクレア」がいいのかな。シンクレア・ルイスのシンクレア
 酒井昭伸氏の『デューン 砂の惑星』はもう著者(フランク・ハーバート)は死んじゃって聞けないので、オーディオブックとか音声資料を使って、なるべく著者の意図に近い表記にするようにがんばっているようであります。

 本日は803文字です。